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Muv-Luv Alternative~一人のリンクス~
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一羽の鴉
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どという滑稽な話の可能性もあるが、周りを見ても機体を修理できそうな場所は見当たらない。
見たこともない建物に見知らぬ機体。そして修復されている俺の機体。どうにも俺にも理解出来ない事が連続で起こり、頭の整理が追いつかない。
先程も言ったとおり、今考えても分かりそうにない。結局その結論に至った俺は膝をつく形で待機していた機体を起き上がらせ、ブースターを吹かせようとした。が、次の瞬間、目に映る外の景色に人影が見えた。
咄嗟にブースターの起動を停止し、そちらに機体を向ける。
どうやらその人影は一人の青年のようだ。短く切りそろえた髪に凛々しい顔つき。中々に男前な青年だった。
その青年は此処の景色にそぐわない格好をしており、俺の方を見て驚愕の表情を浮かべていた。まるで信じれない物を見るかのように。
最初は突然視界に現れた青年に警戒したが、その姿格好からして此方に害が及ぶような物は持っていないようだ。そう判断し、機体を再び待機モードに入れ、機体の座席を開き、外に出れるようにする。
機体のハッチが開いた瞬間、今までに感じた事のない日光が座席に差込、思わず目を瞑ってしまうが、ある程度目が慣れた所で外に飛び出し、そのまま地面に降りた。
一応座席に備えてある拳銃を手に持ち、それを青年に向けながら、ある程度の距離まで近づく。別にこの青年を殺したい訳ではない。寧ろその逆だ。この周囲の状況は一体何なのか、それを聞くために俺はこの青年に近づいた。
「手を上げ頭の後ろで組み、そのまま後ろを向け」
青年の方も突然機体から降りてきた俺に強い警戒心を抱いているようだった。だが、俺はそこで一つの違和感を覚えた。どうにも俺の視界に写る青年には隙がない。それに青年の瞳には恐怖心と言ったものがまるでない。寧ろ俺に銃を突きつけられても、この場をどう避けるかなどといった打算を考えている勇猛な目つきをしている。
見た目は何処にでもいそうな青年だが、その中身は常人じゃなさそうだ。
その事も分かり、更に警戒を入れながらいつでも青年の頭が打ちぬけるよう照準を合わせておく。
「分かった」
最初は少し構え青年だったが、この場では確実に自分が不利だと感じたのか、大人しく俺の指示に従い、腕を頭の後ろで組み俺の背を向けた。その俺に向けられた背中からも、この状況に陥っても尚闘志が十分に感じられる。その事に思わず小さな笑みを浮かべてしまう。
「幾つか聞きたい事がある。此処は何処で、なんと言う場所だ?そしてそこに倒れている機械はなんだ?」
俺がそう聞く事によって一瞬だったが、青年の方がピクリと震えた。
「…此処は日本の横浜です。それでそこに倒れている機体は戦術機TSF-TYPE77撃震です」
…?
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