第五章 『魔への誘い』
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赤い地表に立つ白い柱に激突しようとしていた。
「Blast off!」
ダンテは激突の寸前に、リベリオンの柄尻を蹴りつけた。ダンテの超人めいた脚力によって蹴り出されたリベリオンは深々と白い柱へ突き刺さり、ブラッドゴートを文字通り張り付けにする。ブラッドゴートが瀕死の重症を負い、四肢を痙攣させている一方で、ダンテは何事もなかった様に墓石の様な白い石へ着地していた。
「随分と懐かしい場所に着いたもんだ」
白い石から降りたダンテが辺りを一瞥してそう呟いた。懐かしいと言うように、ダンテは8年前にこの場所へ来たことがあった。封印されていた魔界へ繋がる塔『テメンニグル』を起動し、魔界への扉を開いたアーカムという男を追って魔界へ足を踏み入れた際に、ダンテはここへ来たことがあったのだ。
「ダァ……ンテェ……!」
そこへ、血がざわめくような声がダンテの名を呼んだ。ただ名前を呼ぶ声なのに、聞いただけでその恨み辛みがのし掛かってくるような怨嗟の声。常人が聞けば魂が壊れるような、まさに“悪魔の声”だ。
だがダンテは何事もないように、いつもと変わらない調子でブラッドゴートへ向き直った。
「なんだ? 恨み言なら聞き飽きちまったぜ?」
ブラッドゴートはダンテのその言葉を聞いて逆上したのか――もっとも、始めから憤怒していたが――柱から離れようとする。しかしリベリオンは深々と白い柱へ突き刺さっているため、無理に動こうとすれば身はリベリオンの刃に引き裂かれてしまうだろう。
しかしブラッドゴートは迷わず動いていた。ブラッドゴートは聞くに耐えない金切り声を上げて、柱から離れていく。ベリオンの刃が身体を切り裂き、骸骨の装飾が施された柄が肉を押しのけ砕こうとも止めようとしない。ブラッドゴートを突き動かしていたのは、積年の恨みだけだった。
「ダァァンテェェ! 死す――べしッ!」
そしてリベリオンの呪縛から解放されたブラッドゴートは、全力でダンテへ突進する。精強な肉体を持つブラッドゴートの、すべてを投げた捨て身の一撃の破壊力は並大抵ではない。ダンテを殺せなかったとしても、せめて一矢報いらんとするブラッドゴートの拳がダンテへ迫る。
次の瞬間、ブラッドゴートの拳が赤い血潮を巻き上げた。ゆうに数メートルは巻き上げられた血潮は、まるで間欠泉が噴き出しているようだ。
ブラッドゴートは意識も絶え絶えの中、拳に手応えを感じていた。確実に拳で破壊した感触だった。ブラッドゴートは、あのダンテへ一撃を喰らわせ、あまつさえ殺せたのではないかとすら思っていた。二千年前から脈々と続く魔界の恨みを晴らしたと。
ブラッドゴートがそう考えている最中、赤い水柱が、突然切り裂かれた。ブラッドゴートの視界に、水柱の切れ目が入る。そこには、銀色の髪の下に不
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