第五章 『魔への誘い』
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先んじてダンテが飛び込んだ先は、確かに魔界が広がっていた。しかし、賢者の石の力によって無理やりこじ開けたものである。ため空間のつながりはひどく不安定であった。現にダンテは、魔界の遥か上空にダンテは放り出されていた。
「変なとこに繋がったもんだな」
このような状況に置かれれば、冷静になる方が難しいだろう。しかしダンテは、猛烈な速度で落下しているにもかかわらずいたって冷静に眼下に広がる光景を見渡していた。
鮮血のように赤い地表。その上に点在する墓標や石像。それが永遠と、地平線の彼方まで続いている風景だ。人間界にはあり得ない、それこそ混沌とした地獄を描いた絵画のようだ。
風切り音とともに鮮血の地表が刻々と近づいていくなか、別の何かの音が聞こえてきた。よく聞くとそれは、獣のような声や、翼をはためかす音だ。その音達は、ダンテよりも遥か地表に近い所から、どんどんと近づいてきていた。
「さっそくお出迎えか。エスコートしてくれるよな?」
その音の主たちを視認するよりも前に、ダンテはエボニーとアイボリーをホルスターから抜いていた。エボニーとアイボリーの銃身は、獲物を撃ち抜くのを今か今かと待つように鈍光を放ち、ダンテの目は、獲物に襲いかからんとする猛獣のような眼光を放っていた。
そしてその獲物達がとうとう見えてくる。
穢れた血を注がれた石像が液状となり、赤い鳥のような姿へと変貌した悪魔『ブラッドゴイル』。強靭な肉体に山羊の様な頭部をもち、人語を解する『ゴートリング』に、体が深紅に染め上がった上位個体の『ブラッドゴート』。死神という存在を体現したかのような、マントのように広がる霊体に巨大な鋏や鎌を携えた『シン』。真帆良学園に流れ込んでいた、悪魔の影を元に作られた半人形半肉体の召喚魔の元となった『グレムリン』。
その他様々な悪魔達が、ダンテのいる空へ向かっていた。その数は、大群という言葉が生易しいほどだ。正確な数など無論分かるわけもない。
押し寄せる悪魔達を捉えたダンテはただ口角を上げ、エボニーとアイボリーの引鉄を引いた。銃口から吐き出された弾丸は障気の濃い魔界の空気を切り裂き、目標目掛けて直進する。ダンテの狙いは正確だ。寸分の狂いもなくゴートリンクの眉間に銃弾が突き刺さり――無数の鉛が降り注いだ。
とても拳銃とは思えない速度で引鉄を引き、ダンテは弾丸を悪魔へ撃ち込む。体にいくつもの風穴を開けられたグレムリンや石像に戻っだブラッドゴイル達が、赤黒い悪魔の塊からみるみるそげ落とされていく。
しかし押し寄せる数が多過ぎた。エボニーとアイボリーだけでは、流石に撃ち落とす数に限界がある。その上、ブラッドゴートのような中級悪魔には銃だけでは火力が幾分足りない。また、悪魔達との距離はもういくらもないほど接近していた。
アイボリー
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