第三十八話
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モンスターとの戦いになった、《The Damascus》に対して放った、隙は大きいが上半身のバネをフルに活用して放つ高威力の斬撃術――斬撃術《朔望月》。
隙がどれだけデカくとも、《カミツレの髪飾り》と糸に身動きが封じられているPoHに防ぐ術はなく、また、威力も一撃で《The Damascus》のHPを削りきれるほどのまさに一撃必殺の一撃。
「――斬撃術《朔望月》!」
PoHに放った一撃は、寸分違わず狙い通りにPoHの身体に命中させ……その肉体を、ポリゴン片と四散させる。
……殺ったとその手応えから俺の感覚は確信するが、俺の眼はその後のポリゴン片の動向を見逃さなかった。
――ポリゴン片の中に……PoHがいる?
そんな有り得ない状況に俺の脳内で浮かんだのは、キリトから聞いた《圏内事件》の時のことであった。
その時《カインズ》というプレイヤーは、鎧の破壊と同時に《転移結晶》を使うことで、自身の身体をポリゴン片としたように見せかけて偽装殺人とした――それと同じ。
PoHの周りにあったポリゴン片は、奴のポンチョとハーフメイルだと俺の頭に考えつき、急ぎ足刀《半月》による追撃を試みるものの、恐怖の予測線が俺の頭に迫る恐怖を告げ、なんとか足刀《半月》を回避に回す。
「くっ……!」
俺の頭に、飛んできた友切包丁が迫り、恐怖の予測線のおかげでなんとか足刀《半月》で弾いたのだが、その間に目の前のPoHは《転移結晶》を握りしめ、場所指定を完了していたようだった。
「you got me.だが、次は勝たせてもらうぜ……!」
足刀《半月》を頭部の防御に回したせいで、追撃は間に合わずPoHのどこかへの転移を許してしまう。
「くそッ……また仇をうてなかった……!」
仇をうてなかったことは確かだったが……三回の敗北と決定的に違うのが一つだけ。
「……勝ったぞ、俺……」
日本刀《銀ノ月》を鞘にしまって壁にもたれ込み、答える者は誰もいない呟きは空気に溶けていった。
――こうして、レッドギルド《笑う棺桶〈ラフィン・コフィン》討伐戦は、リーダーであるPoHを逃すという結果となったものの、概ねの構成員は捕縛、もしくは死亡することとなって終わりを告げた。
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