第三十八話
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半月》と自身の間に友切包丁を挟みこんでいたため、PoHは吹き飛んだものの対したダメージは与えられていなかった。
「チ……やっぱりmonsterじゃねぇか……」
PoHが包丁を構え直しながら俺のことを化け物と毒づくが、『恐怖』をこれ以上ないほど感じている俺は、弱者であり人間だ……むしろ、こちらからすれば、最前線で戦い続けてレベルを上げ続けているキリトやヒースクリフの方が、よっぽど化け物である。
「悪いが、お喋りする気はない……!」
《恐怖の予測線》があると言えども、俺にもまだまだ扱えきれていないこともあることだし、PoHならばそろそろ対応してきそうな予感までするところがPoHの恐ろしいところだ。
「《縮地》……!」
一刻も早くこの戦いを終わらせる為に、日本刀《銀ノ月》を鞘にしまいつつ、胸ポケットからこの戦いに使いたくはなかった《秘密兵器》を取りだし、《縮地》を起動し高速移動を開始する。
PoHの肩の近くに移動した後、そのまま恐怖の予測線に従ってPoHの斬撃をしゃがんで避け、もう一度《縮地》を使ってPoHの周りを一周して元の位置に戻る。
「捉えたぜ……PoHッ!」
PoHの厄介なところとは、その身軽な武器を活かした死神のような、ソードスキルに頼らない軽々とした動きと、それに決定打となる威力を付加する友切包丁の魔剣と言われる由縁である性能だ。
ならばPoHに勝つにはそれを封じれば良いのだ……言うだけならば簡単である、まさに机上の空論ではあるが。
「な、んだ、こいつは……!」
――だが、今回はその机上の空論を可能にする。
PoHの身体には捕縛用の糸が巻きつかれており、腕を動かすことは適わず、もはやその自慢の包丁を使うことは出来ない。
「俺がさっき《縮地》お前の周りを一周した時に、お前の身体に糸を巻きつけた……」
このアインクラッドに糸による攻撃スキルなどないし、俺に出来ることはあくまで剣術だけでそんな糸による捕縛など出来はしない……だが、そんな馬鹿みたいなことをしていた女を俺は一生忘れない。
「その糸は、お前が全滅させた俺たちの仲間の……ギルド《COLORS》の遺産だ」
俺のシステムメニューに未だに残り続ける、ギルド《COLORS》の共用ストレージに残っていた捕縛用の糸……『強さ』を手に入れるために使わないなんていう、つまらない理由で使うのを拒んでいたアリシャの遺産。
そしてその身体を縛りつける糸を支えているのは、最初の《縮地》の時にPoHの肩のポンチョに刺した、アリシャが遺言と共に残した《カミツレの髪飾り》――!
「ありがとうアリシャ……それから、さよならだPoH……!」
これから俺が放つのは、ギルド《COLORS》最後の
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