第二章 A's編
第二十七話 『強襲』
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雄叫びとともに男の鋭く狙った拳が私に迫る。
それを左手の干将でいなし、右手の莫耶で切りつける。
だが相手も読んでいたようで逆の手甲でそれを防いでいる。
―――油断するな。目の前の敵はこと格闘戦に関してはシホ・E・シュバインオーグの遥か上をいくものだ。
別思考で心眼を発動している私がそう告げる。
そんな事は分かっている。
しかしこうも攻めに転じられないのはなんとかならないものか。
昔の自分なら同じ体格故にどうにかできたかもしれない。
しかし今はか細い少女の体に過ぎない。
その拳を受けるたびに衝撃が剣を通して直に伝わってくる。
魔力付加されているから尚更だ。
こう何度も受けきれるのも干将・莫耶という宝具の恩恵があるがそれを担う私が耐えられなくなってはそれこそお仕舞いだ。
こんなもの、まともにくらえば私なんてまるで風船のように何度も撥ねられた挙句に悶え苦しむことは必至。
だからいい加減、受けに重んじるにも限界を感じ始めた私は攻めに転じる為に夫婦剣に魔力を叩き込み強度を破裂限界ギリギリまで固め、そして男の攻撃をそのまま利用して後ろに飛びのいた。
男も攻撃した直後のため、ましてまさか自身の攻撃が利用されるなどと思っていなかった為に一瞬…そう、ほんの一瞬だけ膠着する。
「ハァッ!」
そこを狙い夫婦剣を投擲する。
当然私の行動は初見の者には馬鹿な行動だと思われるだろう。
だがそれが狙いだ!
「なにっ!?」
男はその類に違わずまんまと引っかかり、剣を弾こうと手甲を振るう。
そう、その隙が欲しかった。
瞬時に両手には新たな干将・莫耶を投影する。
そしてそれをさらに投擲。
「ぐぅ! 目くらましのつもりか!?」
「まだまだ! 本当の目くらましはこれからよ!」
再度、夫婦剣を投影。また投擲。
合計三回夫婦剣を投擲させた。
しかも今度のは鉄甲作用も施して、だ。
これは先程のとはスピードも威力も倍近くなっている。
「こんなもの、砕いてくれる!」
「砕かれる前に…―――鶴翼、欠落ヲ不ラズ!」
私のワードに反応して先程既に弾かれている二双一対の夫婦剣四本すべてが私の最後に放った夫婦剣に向かって引き寄せられる。
これの意味するものは今現在進行形ですべての夫婦剣が男に向かって集まる事を指す。
…そう、六双三対の剣がね。
それに気づいたようだけどもうこれで詰み。
私がそう思った矢先に頭の中で危険予知警報が鳴り響く。
―――慢心は捨てろ。これほどの者がこの程度の小細工で討ち取れると思うな?
慢心しているつもりはない。
ええ、分かっているとも。
だからすべてを叩き落そうと行動を移そうとする男よりも早く、最後のワード
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