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ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
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〜絶望と悲哀の小夜曲〜
六王の対応
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ダガー)捌きは天才的だった。
まるで手の延長のように自在に閃く刃は、システム的なソードスキルに頼らずとも、モンスターを――あるいはプレイヤーを切り刻んだ。
ことにどこで手に入れたのか、《友斬包丁(メイト・チョッパー)》という物騒な銘の大型ダガーを手に入れてからの奴は、攻略組プレイヤーですら恐れるほどの実力を身につけていた。六王達とは対極的といえるそのカリスマ性で、PoHは徐々に、徐々に、己を慕って集まったはぐれ者達の心理的リミッターを緩めさせていったのだ。
ゲーム開始から一年が経過した、二〇二三年の大晦日の夜。
三十人規模に膨らんでいたPoHの一味は、フィールドの観光スポットで野外パーティーを楽しんでいた小規模なギルドを襲い、全員を殺した。
翌日、システムには規定されていない《レッド》属性を名乗るギルド《ラフィン・コフィン》結成の告知が、アインクラッドの主だった情報屋に送付された。
「さて、全員揃ったか?」
ヴォルティスが重苦しく言った。まあ、あの筋肉漢が暑苦しくない時なんて無いのだが。
「揃ったようですな」
シゲさんがぐるりと会議室を見回して言った。
円形の会議室の中心に据えられている円テーブルの周囲の六つの革張りイスは、すでに全部埋まっていた。
だが、普段と違うことが一つ。攻略関係の時や、《災禍の鎧》関係の時には会議室の中には各ギルドの副官や参謀が同室するのだが、今現在この会議室にはその影は無い。
【神聖爵連盟】であれば、ウィルヘイムかリョロウ。
【血盟騎士団】であれば、アスナ。
【風魔忍軍】であれば、ツバキ。
【スリーピングナイツ】であれば、シウネーかジュン。
そのプレイヤー達は実質、会議室の本当の支配者といっても過言ではない。
なぜそんなことが言えるかというと、彼らは自身の主の補佐というお役目で来ているのだが、しかしそれはあくまで表面上のことだ。
その裏の目的は、会議で自身の主に不利な契約の妨害、または主に有利な条約の締結。
そんな腹黒い裏があるため、ギルドを持つレンとテオドラ以外の六王メンバーは、会議には絶対に自身のギルドメンバーを一人は連れてくる。諸事情で副官などが来られない時は、代わりのメンバーを引っ張ってくるほどの徹底ぶりだ。
だが、この場には本当に六王以外はいない。その理由は──
「皆すまないな、内通者がいる可能性が最後まで排除できなかった」
ヴォルティスが言い、頭を下げる。どうでもいいが、頭を下げられても喰いちぎられそうな空気が漂ってくるのはなぜだろう。
それにユウキが手を軽く振りながら言う。
「いいよいいよ、閣下。閣下が最後まで内通者を探してたのは知ってるから
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