第63話 =魔法=
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うと中立地帯ではログアウトによる逃げを防ぐため数分間意識の無いアバターがその場に残るらしい。その間はやられ放題で気付いたらセーブポイント、なんてこともざらじゃないらしい。
「…なら、俺から先に落ちていいか?」
「いいけど…どうして?」
「夕飯作らないと…」
キリトは今ここにログインしてるから気にしなくてもいいけれど問題は直葉のほうだ。家事のほとんどは俺なのだが料理だけは好みやらなんやらの問題で交代制で今日は俺の日、もしこのまま作らなかったら何言われるかわかったものじゃない。
ということで早速寝オチのログアウト、では無く自発的のログアウトをするためにウィンドウを開きボタンを押す。すると警告メッセージが出たが無視してYesに触れると、周囲の風景が一気に遠ざかり消えていった。
――――
「さて…なんにしようか」
これが多分、全国の主婦の最大の壁なんだろうな…メニューが決まらない…。と考えていると恐らく買い置きと思われるベーグルが。冷蔵庫を見ると生ハムやクリームチーズ、レタスなどいろいろな野菜類もありそのおかげでベーグルサンドということが決まり、早速作る。
作ると言ってもベーグルにその材料をはさむだけで数分くらいで完成、早速直葉を呼びに行こうと2階に上がってノックするが反応は無い…。
「…まだ、あのこと怒ってるのか?」
だが返事は無い。直葉には珍しく寝ているのかと思い台所へ戻って直葉と和人の分のサンドにラップをかけて自分の分をほおばりながら部屋に戻ってナーヴギアを被り、俺はあの世界へとまた戻っていく。
「おっす、待たせたか?」
「いや、全然。じゃあ次はリーファ、どうぞ」
「いいの?…ならお言葉に甘えて」
リーファは言うと同じようにウィンドウを操作してログアウトし、そのアバターは自動的に待機状態になった。その様子を見て先ほど俺も人生初ログアウトだったな、と言うことを思い出す。
「ログアウトってあんな感じだったんだな…」
「なんでそんな初めてみたいに言うんだ?」
「実際初めてだったからな…昨日は寝オチだったし、その前に被ってたときにはそれ自体出来てなかったし…」
「…そうか…そうだったな…」
キリトはそう納得しながら悔しそうに、悲しそうに笑う。あの城であったことを思い出しているのだろうか…。確かに得られたものも多いけどその分、傷になったものも多かった。15,6年の人生だと絶対に得られないレベルの物を。
「……あぁー!!、もう!!」
「な、なんだよ…」
俺の叫び声にキリトは目を丸くして驚いている。もしも周りの木に小鳥が止まっていたら全部どこかへ飛んでいくくらいの大声らしく実際鳥系モンスターが2,3匹こちらの存在に気付いてこちらへ
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