第二十三話
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上層階用のエレベーターで上がると、エレベーター前に待機していたスタッフにイベントホールに通された。
部屋は本来なら国際会議にも使えそうな収容人数2000人クラスの大ホールを四分割しての一室だが、それでも部屋の広さに対して人が少なすぎる。
何十列にも席が並べられるはずのホールには、部屋の前方に用意された演壇の前に僅かに10席並びの列が3つあるだけだった。
「柴田……さん?」
横から声を掛けられて振り返ると、見覚えのある日本人離れした容貌の美少女が立っていた。
「梅ちゃん……?」
ゲーム中とほとんど変わりが無い姿に芝山は驚く。実際の自分と比べて余り見た目を変えてない自分でさえ、ちょっと見ただけでは自分と分からないようにしてあるのだった。『一目で彼女本人と特定出来るのは拙いのでは?』と思う一方『何故彼女は俺を一目で特定できたのだろう?』とも思ったが、彼の口から出たのは……
「ネカマじゃなかったの?」
柴田は殴られた。幾ら芝山の事をストーカーになるほど想っていても、ゲーム内と変わらない体型や仕草で彼と特定出来るほど想っていても、いや想っているからこそ殴らなければならない瞬間が女にはあるのだった。
「ひどい……」
赤く腫れた左の頬を押さえながら涙目で被害者を気取る芝山。
「ひどいのは柴田さんです。これで私が女だと信じてもらえましたか?」
黒のレース生地に白の大きなパターンの花柄をあしらったチェニックワンピースで着飾った彼女を前にして、流石に頷くしか出来なかった。
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