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故郷は青き星
第二十三話
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ストへの参加を断られた場合でも3万円は支払われます。同様に講習を2日目で中断された場合でも2日分の報酬をお支払いします」
『ひ、酷い。こんな……こんな条件を出されて……俺に断れるはずが無い』芝山は自分の欲望に正直すぎて詐欺に簡単に引っかかるタイプだった。
「当日は、わが社より職員を派遣して御自宅から会場までご案内します。滞在中の宿泊・食事は最高のものを用意させていただきます。どうか参加していただけないでしょうか?」
 芝山は自分が悪魔の誘惑に「はい」と答えてしまったことに気付いたのは、答えた3秒後のことだった。

「今回のことは一切極秘と言う事で、ネットは勿論、ご友人、ご家族にもテストのことは秘密にしていただきます。ただし芝山様は未成年なのでご両親への説明が必要な場合は、こちらからご両親に説明をさせていただきます」
「わかった。あと両親は大丈夫……俺は1人暮らしだから」
 芝山はまだ「はい」と答えてしまった事から立ち直っていなかった。



「ようこそ説教部屋へ。説教部屋へようこそ……ね」
「…………」
 エルシャンの言葉に、マザーブレインは気まずそうに押し黙る。
 今回のテスト参加者は全世界で1500人を予定しており、辞退者の分を含めて1750名が柴田と同様にテストへの参加を促されていた。
 当然、エルシャンが一人一人に直接話をするのは不可能であり、先程の柴田と話をしていたエルシャンを含めて全てマザーブレインが代行していた。
「こんにちは。プレイヤーの皆が一度は耳や尻尾を触りたいと言う欲望を密かに抱かずにはいられないエルシャンです……ね」
「…………」
「お前さ、疲れてるんだよ。一度じっくりとメンテナンスを受けたらどうだ?」
「優しく言わないでください!」
「じゃあ……とっととメンテナンスを受けろ。このポンコツAIが!」
「お断りします」
「命令だこの野郎! 変なポーズまで取りやがって」
「断固お断りします……ところで司令官」
「何だ?」
「思いの外、辞退者が多く参加希望者が現状で1500人を割り込んでいます」
「ホント? そうじゃなく早く言え!」
「申し訳ありません司令官」
 そうは言いつつも全く悪びれた様子が無い。
「まあ良い。実際会場に来てから辞退する者もいるはずだから後300人ほど追加で頼む」
「分かりまし──」
「今度は真面目にやれよ!」
「…………」
 マザーブレインはエルシャンに決して答えようとはしなかった。



「この車ってトヨタの最新型EVですよね?」
 ニューワールド社──ダイブギアを開発販売及び、DSWOの運営を行っている会社──からの迎えの車に乗り込んだ芝山は、広い後部座席から運転手に声を掛ける。
 2029年12月に発売された新開発のバッテリーより20
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