第二話「ヤンデレ怖いよヤンデレ」
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よかったね、イッセー。デートは無事成功かな。
微笑ましい気持ちで上空から見下ろしていた僕は、悪戯っ子が浮かべるような笑みを張り付け、気配を消して彼らを尾行する。
理由はもちろん面白そうだからだ。とはいえ、イッセーの邪魔をするつもりはない。彼は僕のお気に入りだからね。イッセーの恋を応援しますよ。
「うん?」
なにか様子が可笑しいな。何やらイッセーがショックを受けてるようだけど……。
その時、女の子の背から黒い翼が飛び出し、手に光の槍が出現した。
……えー、なにこの展開。何か知らないけどイッセー殺されそうだし。
まあいいや。今はイッセーを助けないと!
「ぶーん、急接近!」
プロペラの回転速度を上げて、猛スピードでイッセーの元に向かい両手を広げた。これでイッセーの身は安全だぜい!
――ドスッ。
鈍い音を立てて槍が僕の胸に突き刺さる。だけど僕が傷つくこと、ましてや死ぬことなんてあり得ない。
女の子は僕の登場に驚いた顔をしていたが、そんなの無視!
僕はイッセーを逃がそうと肩口に振り返り、
槍が僕を貫通して、イッセーのお腹に突き刺さっていた。
「あー!!」
素っ頓狂な声を上げながら慌てて槍を引き抜きイッセーに駆け寄る。お腹の傷口から流れる血はどす黒い。これは大動脈が切れた証拠。
つまりは、致命傷だ。
「人間? なんで人間が無事なの?」
女の子が僕を見て首を傾げる。
「……紅い……あの人の、色……」
「イッセー、しっかり! 今助けるからね」
虚ろな目をして何かを呟くイッセー。僕は直ぐ様、傷を治そうとして、
「あなたね、私を呼んだのは」
赤い閃光を放ちながら突如展開した魔方陣から紅い髪の女の人が出てきた。もう、なんなの次から次へと! 邪魔するなら潰すよ!?
「死にそうね。傷は……へぇ、おもしろいことになってるじゃない。そう、あなたがねえ。本当、おもしろいわ」
女の人はイッセーの傷口をみるとなにか得心がいったのか頷いていた。ていうか、全然面白くなんかないわ!
いつの間にかあの女の子もいないし、ああもう! 次に会ったらその存在を抹消してやる!
「ちょっといいかしら?」
女の人がなにか言ってるが今は無視。まずはイッセーが先だ。
「――『完全再生』」
傷口に手をかざすと、イッセーの傷がみるみると塞がった。顔色が悪いね。血が足りないのかな?
「――『増血』」
うん、血色が良くなったね。
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