プロローグ
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「たっく、暑いったらありゃしない。」
夏の日光に照らされたアスファルトが陽炎を作り出し、木に止まった蝉がシャワシャワと傍迷惑な音を出している。
自転車に乗っているが、顔に当たる風は心地良いとは言えない。というか、ものすごく不快だ。
交差点の赤信号が見えたので減速、やがて止まると、より一層体が暑さに蝕まれる。
これだったら、まだ風があった方がよかったかも、などと考えながら、信号を待っている間が暇なので、この暑さの原因たる太陽を見てみた・・・
うん。何やってるんだろうね。直視したら当然のごとく『目が!目がーー!!』的な事になったよ。
目をさすり、自分の行動に後悔しながら、もうそろそろかな、と歪む視界を動かしてみるとそこにあったのは・・・車のボンネット。
それを目にしたつぎの瞬間には体が宙に舞っていた。
激痛が走り、声にならない声を上げながら地面に叩きつけられた。
背中から落ちたのだろう。
肺の中に残っていた空気が音を立てながら、ものすごい勢いで出た行った。
チカチカと点滅する視界には俺を跳ねたと思われるトラックと、スクラップと化した愛車が写った。
だんだんと手に、足に力が入らなくなってくるのが分かる。
・・・おそらく、ここでおれは死ぬんだろう。
まあ、この世に数多く存在する宗教の考えが正しいのか分かる、と考えるかな・・・
ん・・・視界が暗くなってきた・・・
○ ○ ○
ここはどこだろうか・・・
海のようなただ広く、何もないところを意識が浮き沈みしながら進んでいく。
自我が保てなくなりそうだ。
しばらく進んでみても出口はおろか、人工物も何も見る事はできなっかた。
このまま進んだとして、終わりはあるのだろうか。
鉛のように心に重くのしかかる漠然とした不安が、時が経つほどに大きくなっていくのが考えるまでもなく気づかされる。
というより、此処は本当にどこなのだろうか。
こんなに神経が侵される場所は、地獄にちがいないだろう。
だが、まだ俺は神という大勢に言い伝えられている存在に会っていないし、見てもいない。
となると、今俺はその待つ場所に向かっているのだろうか・・・
考えても結論は出ない。
もう何年経ったのだろうか・・・
ここはほとんど変化がないからまったく分からない。
本当に、本当に、もしかしたら終わりがないのかも
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