第一話「モットーは自由奔放ですが、なにか?」
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て且つ余裕のその表情、底が見えない。
「にょほほほほ」
あまりの速さで竹刀が二本、三本と増えているように見える。本当に人間か!? 同業者って言われた方がまだ納得できるよ!
レイくんとの試合では『力』は使わないようにしている。人目もあるしフェアじゃないと思ったからだ。だけど、使ってもはたして勝てるかどうか……。
このままじゃ防戦一方でジリ貧だ。ここは攻めるしかない!
「ハァッ!」
「にょ?」
前へ出る。集中しろ、チャンスは一度っきりだ。
「――ここだっ!」
僕の頭に迫る打ち下ろしを体を捌くことで躱し、カウンターの一撃をレイくんの首に決める。タイミングはどんぴしゃ、躱せない!
「ざんねん、はっずれ〜」
僕の竹刀はレイくんの首に食い込み、そのまま通り過ぎた。残像!?
「はい、おわりー」
その声とともに、僕の頭に軽い衝撃が走った。
† † †
試合が終わった僕らは帰り支度を済ませて校門に向かっている。すれ違う女子たちがキャーキャー喚いてるけど、確かああいった人を腐女子って言うんだっけ。
「それにしても、やっぱりレイくんは強いね。独学だっけ?」
「うん、木場くんも段々強くなってきてるね。結構楽しめたよ」
「そうかい? そうだと嬉しいな」
そうそう。だって初めの頃なんて一瞬で終わっちゃって勝負にもならなかったもの。
「でも、やっぱり悔しいな」
「にはは。僕に勝とうなんて三万年早いよ」
校門が見えてきた。今日はここでお別れかな。
「んじゃあね〜、木場くん。また明日ー」
「うん、また明日」
手をぶんぶん振り、駆け出す。明日はどんな面白いことが待ってるかな?
† † †
とある部屋では二人の女性が対面していた。
「部長、例の者が動き出しました」
電気をつけていないため室内は薄暗い。紅髪の女性と黒髪の女性が互いに向き合う形でソファーに座っており、チェスに興じていた。
「そう、それで?」
「ある生徒と接触したようです。確か、二年の兵藤一誠といいましたか」
「ふぅん、漸く尻尾を出したってわけね……チェックメイト」
「あら」
紅髪の女性の一手に黒髪の女性の手が止まる。そのまま黙考する中、紅髪の女性が立ち上がり、窓を全開にした。
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