プロローグ
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「ル〜ル〜ル〜〜ルララ〜〜♪」
一人の少年が夜の街をルンルン気分で歩く。
歳は十五歳ほどだろうか。背は低く小柄な体型をしており、肩まで掛かる黒髪やその中性的顔立ちに相まって一見すると少女にしか見えない。
空にはまん丸のお月様が輝いている。少年の気分もうなぎ上りだ。
「んに?」
ふと、目の前に見知らぬ男が立ちふさがった。無機質な目でジッと少年を見つめてくる。
「なに? おじさん」
「……貴様からは危険な匂いがする」
ポツリとそう呟くと、目の前の男から殺気が溢れ出た。
「悪いが死んでもらうぞ、人間」
男の背に黒い翼が生え、手に光る槍を出現させると無造作に投げた。
――ドスッ。
槍は寸分違わず少年の胸に命中し、嫌な音ともに矛先が背中から飛び出した。グラッと身体が傾き倒れ伏す。
「もしかしたら、セイクリッド・ギアの所有者だったのかもしれんな」
男は物言わぬ少年の亡骸を一瞥し、背を向けて立ち去ろうとするが、背後から聞こえた声に足を止めた。
「あー、ビックリしたぁ」
致命傷を負って倒れていた少年は何事もなかったようにスクッと立ち上がった。その胸を貫いている槍を掴むと引き抜き、そのまま握り潰した。
不思議と少年の胸には穴はなく、服すら破けていなかった。
「なっ……」
絶句している男に少年は親しげに笑いかける。
「おじさん、堕天使だったんだね。久しく見てなかったから、気配を忘れちゃってたよ〜」
そして、ニコニコと笑いかけながら――、
「で、おじさんは僕の敵ということでいいんだよね?」
凍てつく殺気を浴びせ掛ける。それは先程、男が放った殺気の数千――否、数万倍もの量であり、言葉通り全身が凍りつくような質を孕んでいた。
「ひっ」
身体をこわばらせた男は唇を戦慄かせながら絞り出すように言う。
「な、なんなんだ貴様は……人間ではないのか!?」
「んー、んん〜、んぅ〜♪」
可愛らしく首を傾げる少年の頭上に突如「?」が浮かんだ。比喩でなく実際に浮かんでいるそれを少年は掴むと、
「とりあえず、死んじゃえ!」
投げた。
避けようとするが、少年の殺気に中てられて身体が硬直し、思うように動けない。豪速で飛来する「?」は男の頭部を爆砕した。
その結果に少年の顔に不満の色が浮かぶ。
「……つまんないの」
倒れ伏す男をつまらなそうに見下ろした少年は小さく息を零すと、鼻歌を歌いながら再び歩き出した。
空に浮か
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