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ソードアート・オンライン 《黒の剣士と白の死神》
第一部 全ての始まり
第一章
第一話 デスゲームの幕開け(前編)
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った。」

そういえばイノシシのときに使ったな。

「…大丈夫だ。ポーションはある。」

俺はポーションを出し、一息で飲み干す。

「…それにしてもなんだったんだ?さっきのオオカミは。キョウヤは見たことあるか?」

「ここにそんなモンスターは存在しない。…と思う。クエストなのか?。」

「俺はクエストを今受けてないし、あの強さは異常すぎる。」

見た目に反して、物凄い速さと攻撃力だった。

と、議論を交わしている間にクラインが、

「俺はそろそろ一回落ちてメシ食ってくるわ。ピザの宅配、五時半に指定してっから。」

と、言い出した。

時計は五時半前を指している。

「……人の命よりピザですか、クライン君。はあ…」

俺がそういうと、クラインは明後日の方向を向く。

「……で、良いのかクライン。ログアウトしなくて。」とキリト。

クラインは、それを聞いて急いでウィンドウを開いた。

ふと、何か嫌な感じがした。



「あれっ」

クラインの変な声が響く。

「何だコリャ…ログアウトボタンがねえよ。」
       ・・・・・・・・・・・

「ボタンが無いわけ無いだろ」、とキリト。

だが、俺には死刑宣告を聞いたように感じた。

そして、恐る恐るウィンドウを開く。

長方形のウィンドウが出る。そこまでは良かった。

だが、本来ログアウトボタンが左下にある場所には……

ログアウトボタンは無かった。

嫌な予感が的中したようだ。

俺は、キリトに顔を向ける。

ウィンドウを操作しているキリトも半信半疑で見るが、

こちらに驚いた目を向ける。

クラインは「バグ」と言っているが、こんなバグなど、発生したら大問題だ。

キリトが、「ログアウトするには……」と言っている。

「…ログアウトする方法なんて無い。メニューを操作する以外は…な。」

「んなばかな…ぜってえ何かあるはずだろ!なっキリト!」

だがしかし、キリトは「クライン無駄だ。マニュアルにも、

その手の緊急切断方法は無かった。」

この状況だと、俺たちは閉じ込められた、と言うことになる。

…義父や義母は起こしてくれるかなあ…

「―――母さんと、妹の三人暮らし。だから、晩飯になったら

強制的に解除されると思うけど……」

「おお!?き、キリトの妹さんっていくつ?」

「「この状況で余裕だなおまえ」」

俺とキリトのセリフが被って、場が少し和んだ。

俺は、空を仰いだ。

はるか上空には第二層の底部が見え、そこは薄紫に染まっている。

それを目で追っていくと、さらに遠くに《迷宮区》があり、もっと遠くに外周部が見える。


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