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ソードアート・オンライン 《黒の剣士と白の死神》
プロローグ

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「カロロロロロロ…」

笑っている。

「あはははははは…」

笑っている。

目の前にいる巨大トカゲ―【リザードマンロード】―は、

俺の乾いた笑いに合わせるかのように笑う。まるで、お前は終わりだと言わんばかりに。

俺の左上の視界に移るHPバーは三割減少している。

【リザードマンロード】単体にならここまでダメージは食らわないが、今の状況は最悪だ。

ざっと見渡しただけでも、トカゲたちは…十二体はいる。

迷宮区の狭いことが幸いとなり、少なくとも二対一にはなるが。

「はあ…ポーション無し、アイテムも無し、…仲間も無し。」

俺は、索敵スキルを使って、周囲に人がいないことを確認すると、武器を変えた。

俺が選んだ武器―――それは、刀身は赤黒く、柄の部分は綺麗な漆黒に染まっている。

黒く鈍く光る、巨大な鎌。名を、【エターナル・アヴェンジャー】

『永遠の復讐者』、そんなところか。

俺が武器を持ち替えたことによって、トカゲたちの反応が変わる。

「…行くぜ…」

大鎌が、たいまつの光を反射した。

直後、先頭の二匹が仕掛けてきた。

右は上段から剣らしきものを振りかぶり、

左はソードスキルを行おうとしている。

しかし、

「遅い。」

右の武器をはじき、左の―人で言うわき腹に―鎌を振りかぶった。

鎌は腹を切り、真っ二つにした。

そして勢いで、右も切り裂く。

俺は獲物をしとめたのを破砕音で判断し、前を向いて切りかかった。

【リザードマンロード】の瞳に、恐怖が浮かんだ気がした。

_ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _

俺は、【リザードマンロード】を何とか倒し、迷宮区の安全地帯で一息ついていた。

スキルを使うまでも無かったが、使うと面倒なことになる。

……何とか今日も一日生き残れた。

今回は運命の女神が微笑んでくれたから良かったが、永久に続くわけは無い。

たまたま、死神が手をださなかっただけだろう。

「………」

今社会はどうなっているのだろうか。

混乱?緊迫?どれも当てはまらないだろう。

たかだか一万の人がいないとしても、社会は回り続ける。

「キリト…どうしてるのかな…」

この世界でできた、最初の友達。そして―――。

「…帰るか…」

俺は、彼が死なないことを祈った。

そして、迷宮区から外へ出て行く途中、思った。

きっと俺は進むだろう。たとえこの身が朽ちていっても。

【死神】のように、俺は真紅の夕焼けの中をを進んで行った。

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