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万華鏡
第十八話 プールその三
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「それでもね」
「阪神にとってはよね」
「だからね。そういえば琴乃ちゃんも夏は」
「好きだけれどね、私も」
 この辺りは母親譲りである。
「泳げるし」
「そうよね。そういえば学校の方も」
「プール?」
「そろそろよね。プール掃除はしたの?」
「うちの学校、普通科のもそうだけれど」
 そのプールがどうかというのだ。
「いつも水泳部が使っててね」
「その水泳部の子達がなのね」
「ええ、いつもお掃除してるから」
「じゃあ琴乃ちゃん達がプール掃除はしないのね」
「そのままプールの授業に出るだけよ」
 本当にこれだけだった。
「私達はね」
「そうだったわね。それで水着は」
「入学の時に買ったじゃない」
 もうそれは既にだった。
「ほら、黒の競泳水着ね」
「スクール水着にはしなかったのね」
「中学生まではそれだったけれど」
 だがそれはとだ、琴乃はスクール水着については難しい、そして微妙なものも加えた顔でこう母に対して言った。
「ちょっとね」
「嫌だったのね」
「何か中学生までの水着って感じで」
「そういえば最近高校だと競泳の学校増えたわね」
「でしょ?だからなのよ」
「ビキニはあれよね」
「ビキニは学校の授業では着ないから」
 琴乃もこのことは笑って否定する。
「有り得ないじゃない」
「まあね。漫画じゃあるまいし」
「でしょ?とにかく水着もあるから」
「安心してるのね」
「後は授業になるだけよ」
「水泳ねえ。お水は怖いから気をつこえてね」
「ええ」
 こうした話をしてからだった。琴乃は母に今度はこのことを尋ねた。
「健二は?」
「あの子?」
「うん、あの子まだ起きてないの?」
「今日は部活の朝練もないみたいだから」
 それでだと答える母だった。
「まだ寝てるわ」
「相変わらずぎりぎりまで寝るわね」
「それは琴乃ちゃんもでしょ。お父さんももう出たし」
「朝御飯食べてないんじゃないの?」
「今日は早く出ないといけないからってね」
 それで出て、だというのだ。
「駅でお蕎麦食べるって言ってたわ」
「立ち食いそばね」
「それが駄目だったらコンビニでお握りでも買うって」
 どちらにしても食べる、琴乃の家では朝昼晩と三食しっかりと食べないと駄目だと厳しく言われており父も同じなのだ。
「それで食べるってね」
「そうなのね」
「それでよ。琴乃ちゃんもね」
「私もよね」
「朝御飯を食べて歯を磨いたら出るわよね」
「ええ、そうするわ」
「軽音楽部でも朝練があるのね」 
 母にとってみればこのことが意外だった、それで今言うのだった。
「文化系なのね」
「文化系でもあるわよ、朝練はね」
「身体を動かしたりする部はなのね」
「軽音楽部のライブも体力勝負だから」

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