第十八話 プールその二
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「神戸は新幹線も通ってるし」
「うん、困ることはないわよね」
「大阪にも近いしね」
日本第二の都市であるその町もすぐ傍だ。
「便利よね」
「そうでしょ。広島の方にも行けるし」
「広島ねえ」
「新幹線だったらわりかしすぐだから」
新幹線はあらゆるものを変えた、まさに日本の交通の大動脈として高度成長の象徴であり今も国民に愛されている存在だ。
その新幹線を使えばだというのだ。
「岡山も広島もすぐでしょ」
「ええ、昨日だって」
琴乃はもう窓の外は見ていない、朝御飯の白い御飯とめざし、それに揚げと葱の味噌汁を前にしてこう母に言った。
「広島から甲子園に来てたし」
「ああ、野球ね」
「うん。阪神ファンの方が圧倒的に多かったけれど」
「それでも広島から来てたのね」
「氏多分新幹線を使ってね」
それで甲子園まで来たというのだ。
「そうしたと思うわ」
「そうよね。そうそう、昨日の試合だけれど」
「阪神勝ったわよ」
「テレビで観てたけれどあのピッチャー凄かったわね」
母もまたあのピッチャーのことを言うのだった。
「ルーキーであそこまで投げられるっていうのはね」
「凄いわよね」
「ええ、凄いわ」
実際にそうだと言う母だった。
「完封なんてね」
「あの人いけるかしら」
「あのピッチングなら大丈夫でしょ」
これからも活躍するというのだ。
「コントロールもいいから」
「コントロールなのね」
「そのピッチャーが本当にいいかどうかはコントロールなのよ」
それでわかるというのだ。
「中にはコントロールが悪くても大成する人もいるけれどね」
「大抵は、よね」
「コントロールよ」
やはりそれだというのだ。
「それがいい人は大丈夫だから」
「そういえば阪神のピッチャーってコントロールいい人多いわよね」
「ピッチャーはいいのよ」
このことまで言うことが里香達と同じである母だった。とはいっても彼女が里香達がそう言っていることは知らない。
「阪神はね」
「そうよね」
「けれど打つのがね」
「悪いから負けるのね」
「あの子が心配なのはそのことだけよ」
「打線の援護なのね
「若しも今ダイナマイト打線で」
その阪神の代名詞だ、実際は打線が強かった時期は殆どないが。
「ずっと続いてくれればね」
「一年の間ね」
「そうすれば優勝してるわよ」
打たないから打てないチームなのだ。
「いつも夏になると湿ってきて」
「負けるわよね」
「あの子もそう。打線の援護があれば」
何の問題もないというのだ。
「気になるのはそのことだけよ」
「打線ねえ」
「多分あの子は二点代の防御率ね」
いいものであることは言うまでもない。
「凄いピッチャーになれるわ」
「優勝できるかな、阪
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