第十八話 プールその一
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第十八話 プール
この日は朝から雨だった。琴乃は不機嫌な顔で窓の外の銀色のものを見ながら母に対してこんなことを言った。
「昨日は止んでたのにね」
「今日はっていうのね」
「日曜折角晴れたって思ったら」
「梅雨よ、今は」
母は制服でテーブルに座りそこから窓の外を見ている娘に言った。
「それならよ」
「雨も降るっていうのね」
「そう、一日晴れただけでもよかったじゃない」
「けれど雨って」
「嫌っていうのね」
「昨日は確かに晴れたけれど今年の梅雨雨多くない?」
琴乃は不機嫌な顔で言う。
「ちょっとね」
「こんなものでしょ、毎年」
「そうかしら」
「そうよ、それにまだ神戸はまだ雨普通だから」
「もっと多い場所があるの」
「福井県とかね」
まずはここだった。
「それに京都の舞鶴とか」
「自衛隊の基地がある町よね」
「京都の北のね」
一応京都府ではある。
「そこよ」
「京都っていってもあれよね」
「京都市とはかなり離れてるわよ」
「山を越えてよね」
「そう、電車で二時間ね」
今でもそれ位かかる。
「同じ府にあっても元々は別の国だし」
「若狭だったわよね」
「そうよ、昔はね」
「ううん、京都っていうと山城だけれど」
琴乃は戦国時代においての知識から話した。
「都のある」
「若狭には都はないわよ」
母はこのことも言った。
「山城だから」
「若狭は若狭なのね」
「そうだったのよ、昔はね」
だが今はだった。
「それでも都道府県になってね」
「あそこも京都府になったのね」
「そういうことよ。とはいってもね」
「同じ京都府とは思えないわよね」
「兵庫県だってそうじゃない」
彼女達が住んでいるこの県にしろというのだ。
「私達は神戸にいるけれど」
「あっ、日本海側ね」
「そっちは全然違うでしょ」
「こっちは昔で言うと播磨だけれど」
これも戦国時代を舞台とした漫画や小説、そしてゲーム等から得た知識だ。こうしたものから得られる知識も侮れない。
「日本海側は丹後とかだからね」
「それでよね」
「全然違うわよ、同じ県でもね」
「そうなるわよね」
「だから舞鶴もなのよ」
兵庫県の話をしてからまたこの町の話題に戻った。
「同じ京都府でもね」
「気候が全然違うのね」
「そういうことよ。ただね」
「ただって?」
「あそこは。正直言ってね」
母はここで難しい顔になって娘にこう話した。
「個人的にはだけれど住みにくいわね」
「そうした場所なのね」
「交通も結構不便だし」
軍港がある都市に多いが海に面してそこだけ町がある、周りには何もないのだ。
「それに寒いし」
「ああ、雪凄いのよ
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