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鋼殻のレギオス 三人目の赤ん坊になりま……ゑ?
第一章 グレンダン編
天剣授受者
天剣授受者選定式
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、シキは眉一つ動かさない。
 目線はレイフォンを掴んで離さない。
『小さくても舐めるな! レイフォン・アルセイフ!!』
「ねぇ、シキ」
「なんだ?」
 今まで沈黙を守っていたレイフォンが口を開く。
 シキも会話に応じる。
「本気で行くよ。多分、手加減なんてしない」
「手加減する気だったのか?」
 シキは首を振りながら、肩を竦める。
 レイフォンも苦笑しながら、ため息をつく。
 だからこそだろうか、二人は同時に復元言語を言った。
「「レストレーション」」
 シキが復元したのは刀、そしてレイフォンが復元したのも……刀だった。
「えっ?」
 シキは目の前にある錬金鋼を見て、頭の中が真っ白になった。
 どうしてと呟くシキにレイフォンは悲しそうに目を歪ませる。
「受け継いだんだ」
「……」
 それだけでシキはレイフォンが何を受け継いだのか理解する。真っ白だった頭の中が赤く塗りつぶされる。
 それは言い逃れできない怒りの感情。
「僕は、受け継いだ」
「そうか」
 だがシキはその暴れんばかりの感情(獣)をコントロールする。
 まだ、まだ爆発させる時ではない。
「シキ」
 嫌だ、聞きたくない。シキはそう叫びたかった。
 だが身体が動かない、動かせない、レイフォンの言葉を聞く。
「僕は……僕はサイハーデンを継いだんだ」
 音が消えた。
 開始のゴングなどとっくに鳴っている。だが、シキとレイフォンは一歩も動かなかった。
 観客の中には大声を出し、始めろと言う声もあったがリンテンスの鋼糸がその口を閉じる。
 今、この場に罵声などふさわしくない。
 シキは剄で強化した視力で、デルクを探す。すぐに見つかった、いつも通り腕を組みながらジッとシキを見ていた。
「……そうか」
 シキは笑って、レイフォンを見た。
「でも、俺は認めたくないよ。レイフォン」
「僕は継いだんだよ、シキ」
 シキは目の前のレイフォンを冷たい目で見る。それは親友に、ましては幼い時から過ごしてきた兄弟に見せる目ではない。
 その目を見ても、レイフォンは一切動揺せずに言った。
「認めなよ。認めろよ!! シキ・マーフェス!!」
「黙れよ、黙れ、黙れ!! レイフォン・アルセイフ!!」
 剄が声に乗り、闘技場に強風を巻き起こす。
 観客は、二人の声に驚き、身動きひとつ取れなかった。
「認めろ、君が認めないと」
「黙れよ、お前が黙らないと」
 二人は飛び下がり、一定の距離を置く。
 場の空気が一気に変わり、天剣たちは武器を復元し、観客の前に立った。それは観客を守るための行為ではない。二人の戦いを邪魔しないためだ。
 リーリンは二人を心配そうに見る。クラリーベルは目を輝かせながら見る。シノーラは自然にリーリンを守る位置に移動する。
 
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