第一章 グレンダン編
天剣授受者
天剣授受者選定式
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た。
「余裕なもんか、相手はレイフォンなんだ」
『そうですね、ついこの間の老生体との戦いを見ていましたが互角といったところでしょうか?』
デルボネは穏やかな声でレイフォンを評価する。シキは脱力しそうになったが、気を引き締める。そして気づく。
「……やっぱ見てたのか」
『えぇ、危なくなったらルイメイさんを送るつもりでした』
悪びれもなく言ったデルボネの言葉に、シキはため息をついて怒りを抑える。いつもこうだ、デルボネと会話すると怒りを覚える自分がおかしく思えてしまう。だが嫌悪感はない、むしろ信頼しきっている。
「酷い人たちだ」
『むしろあの程度に苦戦していたら、師事していた人たちが悲しみますよ?』
「……やっぱ酷い人たちだ」
シキは息を吐いて、腰の錬金鋼に触れる。
それは刀だ。剣を使うことも考えたが、怖くて持てなかった。
おそらくレイフォンは剣だろう。
武器に関しては五分、腕に関しても五分、剄量は勝っているが受け止められる剄量は同じであるし、暴発させたらシキの勝ちだ。体術では絶対の自信がある。
『そうですね、戦う前に私が初恋の人から聞いた言葉を送りましょう』
「……当然どうしたんだ?」
デルボネの突然の提案に戸惑うシキ、だがデルボネは気にせず続ける。
『「悩むなら切れ、悩まなくても切れ」ですよ』
「……つまり切れ、と?」
『えぇ、本当におかしい人でしたよ。私の端子を全部叩き切った挙句、鋼糸で制御しましたしね』
「どこの化け物だぁ!?」
シキは大声で叫ぶ。デルボネの実力を知っていればこうも言いたくなる。
端子を全部切った上で、鋼糸で制御など生半可というか絶対に無理だと断言できる。
『……おっと、話しすぎましたね。出番ですよ』
シキは無言で立ち上がり、控え室から出た。
暗い通路を抜けると太陽がこれでもかと光り輝いていた。シキは少し目を細めて、目を慣らす。
観客からは声援と少しの罵声。これまでの戦いを考えれば当たり前かとシキは思う。
目の前には見慣れた人物が立っていた。
「よっ、レイフォン」
「あぁ、うん」
短いやりとり、それだけで二人は口を閉じて、闘技場中央に歩み寄る。
『さぁさぁ!! 決勝戦!! しかぁし! まさかの十歳という年齢の決定戦だ!』
シキとレイフォンは後一歩歩けば、身体がぶつかりそうな距離まで体を近づけた。
司会の言葉など聞いてはいない。
『両者、ここまで錬金鋼を抜いていない!! 抜かずに終わるのか、それとも抜いて終わらせるのか!!』
抜かずに終わる? そんなことはない。
二人の手はもう錬金鋼を掴んでいた、あとは復元すればお互いの武器は復元される。
『では紹介!! 可憐な容姿で実は男! シキ・マーフェス!!』
観客から黄色い声援も送られるが
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