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鋼殻のレギオス 三人目の赤ん坊になりま……ゑ?
第一章 グレンダン編
天剣授受者
天剣授受者選定式
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 しかし男は、自分の言葉を無視されたことをカンに障ったのか、顔を真っ赤にしながらシキを問い詰める。まだ十歳のシキと成熟している男では身長の差が大きい、必然的に上から見られることになる。
「なんだその態度は!? 何か言ったらどうだ!」
「……」
 興味を失ったシキは男を無視して、手のひらに細い鋼糸を作り出して制御の訓練を始める。もちろん男の声は全て無視する。
 男の顔がさらに赤くなり、手が錬金鋼に伸びたとき、一つの蝶々状の念異端子が控え室に飛んできた。
『はい、皆さんごきげんよう。天剣授受者のデルボネ・キュアンティス・ミューラです。これから女王陛下による開会式を始めますので、音声だけをそちらに送りますね』
 男は舌打ちしながら伸びた腕を戻す。シキは鋼糸の制御をやめてデルボネの声に耳を傾ける。
 控え室にはモニターはない。これは戦う相手の戦いを見せないためでもあるが、ぶっちゃけると経費削減のためにカナリスが取った。そのため連絡などはデルボネの端子で行う。
『では繋ぎますね』
 そう言うと、ガヤガヤと人々の声が聞こえてくる。
 次の瞬間、静まり返る。おそらく女王が現れたのだろう。
『皆の者、今日はとても喜ばしい日だ。ようやく最後の天剣が決まる。』
 女王の透き通った声が聞こえる、控えの武芸者たちも固唾を飲んで聞き入るが、シキだけは首を傾げていた。
 聞いたことがある声だと思ったのだ。もちろん、シキが女王と出会う機会なんてないことを常識的に考えればないと言えるだろう。しかし、女王ではなく、その血縁であるロンスマイア家と知り合いなのだ。もしかしたら知らないうちに会っている可能性もある。
 シキはそんな違和感を感じながら、女王の演説を聞いた。
『長らく欠けていた十二本の剣がようやく揃う。この偉大なる日を皆も覚えていて欲しい。ではここに天剣授受者選定式を女王アルシェイラ・アルモニスの名において宣言しよう』
 周りの剄が一気に膨れ上がるのをシキは感じた。しかし、それを感じてため息をつく。どれもこれも、特筆するまでもなく高くないからだ。
 シキは再度ため息をついて、レイフォンを見る。レイフォンもつまらなそうに周りを見ていた。
『では皆さん、ルールを確認しますね?』
 女王の声が消え、デルボネの声が聞こえる。
 どうやらルール説明であるようだ。
『使用する錬金鋼には制限はありません。万が一、破損した場合は予備の錬金鋼を使用することを許可します。原則は、大会前に登録してもらった錬金鋼を使用してください』
 このルールを知ったとき、シキは頭を抱えたものだ。普通の武芸者にはなんら問題ないルールだがシキにとっては困るルールであった。おかげで何を使うのか、直前まで迷った。
『どんな剄技を使っても構いませんが、観戦席に直撃させた場合、即失格
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