第一章 グレンダン編
天剣授受者
天剣授受者選定式
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上がっているのがわかる。グレンダンでは祭りごとが少ないのでそんなに花火を使わない。それなので、花火が上がるだけで孤児の子供たちは歓声を上げる。
「それにしてもいいのかしらね。シキのツテで席を取ってもらって」
「いいんですよ。本人だって『あっちが勝手に渡してきた』って言ってましたし」
数日前、シキが孤児院のために無理をして闘技場での席を取ってきてくれたのだ。それも王家に頼んで、お茶を飲んでいたデルクが吹き出したのは言わずもがな。弟のツテに軽い目眩を起こしたリーリンになんの問題はない。
余談だが、席を取るためにとある女性が暗躍したのはシキも知らないことだ。
閑話休題。
シキが席を取ってくれたおかげで、朝早く起きなくてもよかったのだ。おかげでリーリンたちはゆっくりと準備ができる。
弟の気遣いに感謝しつつ、仕込みを終わらせるリーリン。とりあえずお昼ご飯と念のため軽食を作っておく。試合が長引いたら、売店でごはんを買えばいいだけだ。
天剣授受者選定式は十六人の武芸者が勝ち残りのトーナメントをする。例年通りなら、一日も関わらずに終わるのだが、アクシデントで時間がかかる可能性もある。
軽食はその為に作ったのだ。孤児院の子供達の中にはまだ物心つかず、お腹が減ればぐずる子もいる。
めんどくさいとは思わない。むしろ料理をすることは大好きなので、いつも出しゃばっているシキがいないので清々している。
リーリンは朝早く出かけていった、シキとレイフォンの姿を思い出す。
シキはいつも通りだったが、レイフォンの様子が変だった。怖いとさえ思った。
リーリンは戦場にいるレイフォンは好きではない。普段のちょっと抜けているレイフォンが好きなのだ。こういうとダメな男が好きなる女の図だが、幼いリーリンにはわからないし、将来的に矯正していけばいいと思っている。
姉の計画を知った弟は、一人レイフォンに合掌したそうだ。
「さて……そろそろ行きましょうか」
「うん。行こ! 義父さん!」
「あぁ」
デルクは腰を上げて、昼ごはんが入ったバスケットを軽々と持つ。数十人もの食料だが、引退しても武芸者であるデルクには軽いものだ。
キャーキャーとうるさい子供たちを叱りながらリーリンはふと闘技場の方に目を向ける。
「あの二人、大丈夫かしら」
そんなことを呟きながらリーリンたちは闘技場に向かった。
リーリンたちが孤児院を出発したとき、シキは闘技場の観客席にいた。
何をしているのかと言うと、肩からバックをかけて飲み物やお菓子を配っていた。
「どうだーい! 天剣が決まる今日この日に、記念の一杯! なんと今日は仙鶯都市シュナイバル名産の水! 『ニルフィリア』があるよー! それに食べ物は『アイリィン』、一緒に食べれば気分最高間違いなし!」
ニコニ
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