第十章 (2)
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。感情を伴わない理屈なんて、誰の心にも届かないよ。聞いた時点で理屈は分かった気がしても、結局みんな忘れちゃうの」
「…だけど柚木」
「だから、今の姶良は良かった」
そう言って、柚木は悪戯っぽく笑った。
「私に伝えたいって思って、喋ってた。『どうせ伝わらない』じゃなくて。…だから、分からない言葉が多かったけど伝わったよ」
そして僕の手に、空の缶コーヒーを返してきた。
「納得はしてないけどね。相変わらず理屈っぽいし…性分なんだろうけど、全部そればっかりになっちゃダメだよ。まずはおごった珈琲の缶を自分が捨てに行く、そんな不条理から学び取りなさい」
「……おい」
言い返そうとしたけど、柚木はすでに鼻歌交じりで階下に続く階段を降り始めていた。…ずいぶんあっさりしてたけど、僕の言いたいことは本当に伝わったのだろうか。不安を残しながら、僕も階段を降りた。
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