第九章
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る。
「まずは商品コードを確認します。そのあと、スペックを確認するのです。ビアンキは、これをとても曖昧に捉えているから即答できない」
「もう!なんでそういうこと言うの!ハル嫌いっ!」
「事実」
ぴしゃりと言い放った。ハルは容赦ないな…とりあえず、泣きそうなビアンキの頭をマウスで撫でてやる。
「…紺野さん、今作ってるプログラムって、普通のMOGMOGを上書きすることを前提に作ってるんだよね」
「当たり前だ」
「商品コードも、書き換えちゃうの?」
「いや、商品コードは逆に書き換えるとまずいからな…そうか」
僕と紺野さんは、同時に柚木に向き直った。
「柚木ちゃん、ノーパソ、持ってたよな」
「…うん、まあ」
「頼む、『かぼすちゃん』を、貸してくれ!」
長いインストールの時間を経て、『かぼす』の輪郭がほのかに緑色に光った。
「…うまくいったな」
かぼすが、ゆっくりと瞬きをした。落ち着いたしぐさで周りを見渡し、柚木に視線を戻した。
「すーずか♪おはよ!」
そう早口で言って、にっこり笑った。
「なんか、変わらないみたいだけど」
「いきなり雰囲気変わったら、不審に思われるだろ。インターフェースは徐々にシフトしていく設定なんだよ。中身はビアンキやハルと同じだ」
「ふぅん…」
柚木は分かったような分からないような顔をして、パソコンに身を乗り出した。
「じゃ、かぼす。お願いがあるの」
<i385|11255>
「なーに、すーずか♪」
なんだこのユルさは。どういう性格設定だ。
「このシリアルのMOGMOGを、探して…んーと、トレースしてちょうだい。えと、遠巻きにね」
打ち込まれたアドレスを、かぼすはニコニコしながら大きなポケットにしまいこんで、IEのアイコンを叩いた。
「じゃー、行ってくるねー♪」
それだけ言い残して、かぼすはどこかへ消えてしまった。
「…なんか軽いけど、大丈夫なの?」
「大丈夫。ちゃんとGoogle待機を始めたみたいだ」
IEを立ち上げて、左側に表示された小さなウインドウを確認する。ウインドウに映し出されたかぼすは、細い体をフレームに沿わせるようにして待機していた。紺野さんは、感心したように眉をあげた。
「ほう、目立たないように、エリアの端で待ってるのか。…探偵としては、ビアンキより優秀だな」
「探偵として優秀じゃなくてもいいですからっ!」
ビアンキはむくれてしまった。どうも、紺野&ハルコンビが苦手らしい。
「あははは…ハル、お前もたまに様子を見に行ってやれ。まだ不慣れなはずだからな。…ただし、『奴』が現れたらすぐに逃げること」
「了解しました、マスター」
相変わらず美麗な液晶のなかで、ハルは小さく会釈した。…あぁ、やっぱハルもいい…
「ご主人さまっ!」
険のある声
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