思い出の記録
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ここです」
「はーっ、本当に凄いわねえ」
「太陽の光がきらきらと反射していて、とても美しい雪化粧ですね。私、感動しました」
「ああ。やはり写真で見るより、実際に見る方が綺麗に感じるものなんだな」
「そうですね。これなら、いい写真が撮れそうだなあ」
皆一様にこの景観を誉める言葉を発している。満足してもらえたようで一安心だ。
「どうして俺がこんなことを……」
「ほら、もう撮るから文句言ってないでそこに立ちなさい」
「……わかった」
玲音もさすがに諦めたようで、文句を言いつつも指定された通りの場所に立った。
そうして最初に玲音一人の写真を撮り、次いで春野家の写真、羽月家の写真、全員の集合写真と連続で撮っていった。どの写真もよく撮れていて、伯父さんや伯母さんはもちろん、父さんや母さんも凄く喜んでくれたので、僕も嬉しかった。
写真を撮ったあと、今度は伯母さんが僕にハーモニカで一曲演奏してくれと頼んできた。
僕はそれを承諾して、再び『空の在り処』を吹いた。
すると皆からの絶賛を得た。やはり場所がいいからだろう。
こうして僕たちは玲音を除いた全員が十分に満足して、部屋に戻った。
その後は部屋の温泉に皆で浸かり、全身の力を抜いて寛いだ。そして温泉から上がるとすぐに朝食の時間になり、美味しいご飯に舌鼓を打ち、大きな満足感を味わって帰路についた。
「散々な目に遭った」
「いや。ひさしぶりに玲音の写真を撮れてよかった」
「俺は全然よくない」
結構な時間が経ったのに、玲音はまた不満そうな顔を浮かべている。
そこでふと、気になっていたことを思い出したので、聞いてみることにした。
「そういえば、父さんたちは昨日のお風呂でどんな話をしてたの?」
「ああ、それは俺も気になるな」
玲音も同様に気になっていたから、むっとした表情を正して聞いた。
「昨日のお風呂での話? それは大人だけの秘密だよ」
「ふふっ。そうですね」
そう言われると、余計に気になるのが人情というものだ。
「教えてくださいよ」
「絶対にダメよ」
「まあ、いつかわかる日が来るさ」
「なんだよ、その答え」
「全然わからないよ」
僕たちは揃って不満そうな顔を浮かべた。
「大丈夫ですよ。必ずわかる日が来ますから」
「えー」
このあと五分くらい粘ったが、結局答えてくれなかった。だけど、これも一つの思い出だ。
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