思い出の記録
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よ」
「そうですね。私も気になります」
「早く見せてくれないか、玲音」
皆の食い付きが予想以上だなあ、なんて現実逃避をしている僕をよそに、玲音は皆に写真を見せた。
「この写真だ」
「あらー。凄いわね」
「うーん、これは……いいね」
「翔夜、綺麗に撮れてますね」
「凄く絵になっているな」
穴があったら入りたいとは、こういうことをいうのだろう。雪景色の中で目を瞑ってハーモニカを吹いている写真なんかを見て、何が面白いんだ……。
「もう止めてください」
「凄くいいじゃないか。こんな写真は中々撮れないよ?」
その称賛が辛い。
「そうよですね。あ、あとでちゃんとアルバムに入れましょう」
「あら、いいわね。やっぱりこういうのは残しておかないと」
「母さん、伯母さん……」
こんな写真をアルバムに入れることだけは阻止したいところだ。……けど、たぶん無理なんだろうなあ。
「そういえば、アルバムに写真を入れるのなんてひさしぶりだね」
「家の玲音は写真の一枚すら撮らせてくれないから、羨ましいな」
「父さん。写真をアルバムに入れることは決定なの?」
「え、当たり前じゃないか」
一応聞いてみたけど、想像通りの答えが返ってきた。ああ、もう泣きたいよ。
そこで玲音が牽制するように声を上げた。
「親父。俺は写真なんて要らないからな」
なんとも不用意な発言である。
予想通り伯母さんが反応して、嬉々として玲音を捕まえた。
「え、写真を撮ってほしいって? しょうがないわねー。じゃあ玲音のことも撮りに行くから、翔夜君、案内してね」
「わかりました」
「翔夜!?」
玲音は驚いているが、関係ない。これは僕の写真を公開した罰なのだから。
「玲音が悪いんだよ。でも大丈夫。撮られるのは一瞬だから」
「どこが大丈夫なんだ! 撮られた写真はずっと残るだろ!」
「何を言ってるの? 写真は残すために撮るんだよ」
そこでタイミングを見計らっていた伯父さんが声を掛けてきた。
「じゃあ行くか」
「そうね」
「ちょっと待て……っ、放せ!」
玲音はどうにかして逃れようともがいているけど、がっちりと羽交い締めにされてるから、全然動けないようだ。諦めが悪いなあ。
「はい。こっちですよ」
そうして歩き出そうとしたところで、どうせ一枚撮られたんだから、もう何枚か増えたところで変わらないか、と思って一つの提案をしてみた。
「あ、どうせなら父さんと母さんも一緒に来て撮らない?」
「あら、それはいいですね。それじゃあひさしぶりに、家族の集合写真を撮りましょうか」
「そうだね。僕たちも行こう」
こうして僕たちは、全員揃って部屋を出た。
そして僕の案内で目的の場所を訪れた。
「着きました。
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