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失われし記憶、追憶の日々【ロザリオとバンパイア編】
原作開始【第一巻相当】
第十五話「流転」
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っていた。
その表情からなにか重要な話があると推測できる。おそらく退学届の件だろう。
「すみません、及川先生。ちょっと用事が出来ました」
申し訳なさそうに頭を下げると、及川先生は一瞬寂しげに目尻を下げたが、すぐにいつもの
「そうですか……。残念ですけど仕方ありませんね。また今度作ってきたら、そのときは食べてくれますか?」
「ええ、是非」
ハクも名残惜しそうに弁当箱を見送り、所在なさ気に佇む青野の元に向かった。
「あ、先生……」
「話があるんだって? 生徒指導室で聞こうか」
奥歯にものが引っ掛かったようなもどかしい表情を浮かべている青野の肩を叩き、先導する。生徒指導室を使用する先生は俺だけだから、俺専用の個室と言っても過言ではない。
鍵を開けて中に入ると、肩から飛び降りたハクが二本の尻尾を動かして人数分のコップとインスタントコーヒーを用意した。
ハクは普段から妖力を抑えて九つある尻尾を二尾にまで留めている。マンツーマンでの指導のもと、妖力のコントロールをある程度覚えた結果だ。本人も目に見えて己が成長しているのを実感できているので修業が楽しいとのこと。俺もモチベーションが上がるというものだ。
「コーヒーでいいですよね?」
「ああ、俺は紅茶はあまり飲まないからな」
席に着くと、ハクは器用に尻尾でティースプーンを掴み、慎重にコップにコーヒーの粉を入れる。入れ終わるとコップをポットに置き、跳躍してポットの上に乗った。
このポットは今ではあまり見なくなった旧式タイプのもので、ボタンではなく、ポットの上部にある丸い蓋らしきものを押してお湯を出す。ポットに飛び乗ったハクは前足を蓋の上に置くと自重を掛けてお湯を出した。小狐があせあせとコーヒーを淹れる様は見ていて心が和むな。
これまでの人生で動物と生活を共にしてきたことは片手で数えるくらいしかない。それもペッドではなく、ハクのような家族であり生涯の友のような関係だった。
記憶にある友の中でも、うちのハクはトップクラスの可愛いらしさを誇る。幸せ猫のミーちゃんといい勝負だな。
「どうぞ」
「ありがとうハク。青野は砂糖いるか?」
「――え、あっ、はい……」
「ほら」
角砂糖が入った瓶を渡すと、青野は二つ入れた。ちなみに俺はブラックだ。
「……あの、先生?」
困惑した顔で白に視線を送る青野。そういえば紹介してなかったと今になって思い出した。
「ああ、そうか。そういえば紹介してなかったな……。この子は俺の家族であり、友であり、相棒の白夜。察しの通り妖だ」
「
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