暁 〜小説投稿サイト〜
失われし記憶、追憶の日々【ロザリオとバンパイア編】
原作開始【第一巻相当】
第十五話「流転」
[4/7]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
腹に熱血教師として学園では名が通っており、暑苦しいが気さくで非常に生徒思いの良い先生である。昨年、お嫁さんをもらい、今年女の子が生まれたとのこと。良好な家庭を築けて幸せの絶頂にいる。


 及川美冬先生は家庭科の担当で一年二組の担任でもある。二〇代後半で背中の半ばまである艶やかな黒髪にスラッとした肢体。それでいて出るところは出て引っ込むところは引っ込んでいる、モデルもかくやという肉体を持っている。


 切れ長な瞳に整った顔立ちはクール印象を受けるが、外見とは真逆、明るく陽気な性格をしている。


 色々な生徒から相談事を持ち掛けられ、真剣に考えて一緒になって悩んでくれる心温かい先生だ。コーヒーを入れる趣味を持ち、よく先生が入れたコーヒーをご馳走させてもらっている。


 ちなみに一番多い相談事は恋愛相談らしい。確かに美人で気配りもでき、恋愛経験が豊富な印象を受けるが、本人は交際の経験は皆無とのこと。酒の席では酔った及川先生に「付き合ったことのない私がどうやって恋愛の助言を与えればいいのよ〜っ! うぇええええん!」と絡まれたのは記憶に新しい。泣き上戸でした。


 五年前、教師として赴任し右も左も分からなかった俺に色々とアドバイスや面倒を見てくれたのがこの二人だ。恩師であり教師としての先輩で、以来懇意にさせて頂いている。


「おはようございます。もう習慣付いてしまいましたからね。ゆっくり出来て良いものですよ」


 コーヒーを片手に背もたれに寄りかかりながら微笑むと、「優雅でいいわね。私も今度朝早く来て千夜君と一緒にコーヒー飲もうかしら」と及川先生が微笑み返した。


「いいですね。中山先生もどうです? 皆で午前のエスプラッソと洒落込みませんか?」


「もう……千夜君と二人だけで飲みたかったのに。いけずなんだから」


 可愛らしく唇を尖らせる及川先生に苦笑する。このギャップも人気の秘訣なのだろう。


 何故か及川先生は俺に並みならぬ好意を抱いてくれている。男としてここまで想ってもらえて嬉しく思わないはずはない。だが、俺自身その好意を受け入れる気はないので、一度断ったのだが、


「一度や二度断られたくらいでへこたれたりしないわ。振り向いてくれるまで頑張るんだから!」


 更なる火を灯してしまったらしく、事ある度に熱烈なアプローチを仕掛けてくるのだ。不思議と迷惑とは思わないが。


「ハッハッハッ! いやいや、すみませんが私は辞退します。朝に弱いもので、今の時間より早く出勤するのは難しいですからな。正直、この時間帯で出勤できているのも奇跡に思えますからな。ハッハッハッハッ!」


 豪快に笑いながら俺の頭をべしべし叩く。思わずコーヒーを零しそうになり、慌ててコッ
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ