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失われし記憶、追憶の日々【ロザリオとバンパイア編】
原作開始【第一巻相当】
第十五話「流転」
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「そうですね……まあ、例年通り元気な子が一杯いますよ。おかげでこっちは休む暇がありませんし」
「今に始まったことではないだろう。設立当初なんか毎日が戦争だったな」
「では、大分マシになってきましたね。さすがに戦争を起こす生徒はいませんから」
「ヒヒヒ、違いない」
談笑しているうちに四次元空間を抜けて陽海学園の敷地内に入った。
運転手に礼を言い、学園までの長い道のりを歩き続け正門前に到着する。現時刻は六時丁度。
まだ学生たちが登校してくる時間まで二時間以上あるため、生徒たちで賑わう正門も今は人影の一つもない。
職員玄関を通り、無人の廊下の中、足音を鳴らしながら廊下職員室に向かう。
他の職員より早く出勤するため職員室に一番で足を踏み入れるのは俺だ。電気をつけて窓を開けて換気すると、自分の席に座る。
肩から飛び降りたハクが机の上で丸くなるのを横目に、須藤とシールが貼ってあるコップを片手にコーヒーを入れる。コーヒーを淹れるのが趣味の先生がいるため、キリマンジャロやエルプレッソ、まで幅広く揃えてある。
教材を取出し、今日行う授業をざっと見直す。
「えーっと、今日の授業は……午前に二回、午後に三回か。最初は二年三組だな」
学園で使用する教科書は人間界に普及されている一般の教科書と同じものだ。
俺が担当する科目は生物学と道徳であり、使用する教科書は【道徳教科書〜善く生きるための七十の話〜】と【生物学〜生き物とは〜】のみ。
道徳と言ってもそんな難しいものではない。教えているのは本来小中学校で習うレベルのものだ。ここに通う学生の多くは今まで学校に通ったことがない者、親に教養を身に付けさせてもらっている者ばかりだ。
妖専門の学校は非常に数が少なく、ここ陽海学園以外の学校はわずか二校しかない。必ずしも学校に通えるというわけではないのだ。
ちなみに、他の二校も人間との共存を理念としている学校らしく、妖怪学園と同様に人間との共存の仕方を教えているらしい。
いつの間にか穏やかな寝息を立てているハクを撫でつつコーヒーを飲んでいると、他の先生方が顔を見せる。
「おはようございます、須藤先生。相変わらず早い出勤ですな」
「おはよう。あら、ハクちゃんは寝てるのね」
バリトンが効いた男の声と、色香を含んだハスキーな女の声。中山先生と及川先生だ。
中山聡先生は国語を担当しており、一年五組の担任だ。三〇代後半で一八〇センチの長身に筋肉質の身体をしている。禿頭で強面なのも相まって、一見すると近寄りがたい雰囲気を醸し出している。
しかし見た目とは裏
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