四十五 炎の記憶
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れた瞬間に弾けた。
弟子が不正を行えば、当然師である猿飛ヒルゼンも罪を問われる。非の打ち所が無かった最高の火影に汚点を残せられる。
勿論ヒルゼンの死を望んでいるわけではない。大蛇丸が彼を火影の椅子から引き摺り落としてくれればそれで良いのだ。
そこで大蛇丸が『木ノ葉崩し』以降は決して里に手を出さぬよう、生贄を差し出した。それが、うちはサスケだ。
「ワシがしようとしている事はいわゆる一殺多生だ。一人の犠牲で里が救われるのなら安いものだ」
「だがうちはイタチにバレると都合が悪い。それにサスケ本人が自分を売った里に復讐する危険性もある。だから殺すのか」
カカシがサスケから離れる本選試合中。それも大蛇丸が『木ノ葉崩し』を仕掛けた瞬間に暗殺。さすれば木ノ葉側はサスケが音や砂に殺されたと勘違いし、うちはイタチは『木ノ葉崩し』の首謀者である大蛇丸に恨みを抱くだろう。
「知らぬ間に売り飛ばされるとは、サスケも悲惨だな」
心底同情しているナルトをダンゾウは鼻で笑った。
「人の心配をしている場合か?自分の立場を考えてみろ」
ゆるゆると片手を上げる。刹那、ナルトを『根』の精鋭部隊が取り囲んだ。その中には色白の少年の姿も見える。主の命令に従う彼らの顔触れを確認するふりをして、ナルトは崖上の猫をちらりと見遣った。口角を吊り上げる。
「……俺を殺すか?」
瞳の青が不穏な輝きを放っていた。
驚異的な速度。写輪眼でロック・リーの動きを模倣した彼の体術に我愛羅は為す術がなかった。接近戦を強いられる。
次々と【砂の鎧】が剥がされた最中、我愛羅の顔つきが変わった。その眼は興奮で満ち溢れていた。
彼の頭の中には、『木ノ葉崩し』も国同士の事情も計画も何もかもがどうでもよかった。
印を結ぶ。咄嗟に距離と取ったサスケの視界を砂が横切った。
突如として我愛羅の姿を覆い隠す砂。繭のように彼を包み込む。眼前に聳える砂の球に、絶対防御って奴か、とサスケは悪態を吐いた。
全てを防御に回した砂の円球。硬度にも程がある難攻不落の城に、観戦していた我愛羅の姉兄は顔を青褪めた。計画の要である弟の暴走を察したのだ。急ぎ、風影を仰ぎ見る。しかし父であるはずの風影からは何の指示も得られなかった。
砂の球から聞こえる不気味な歌。どうやら大技を仕掛けるつもりらしい我愛羅に、サスケはくつりと含み笑った。
(ちょうどいい。俺のコイツも時間がかかる…)
軽やかに跳躍し、彼は対戦場を囲む壁上を走った。右手で左手を押さえる。眼が赤く染まり、浮き上がる車輪。
やがて〈チッチッチ…〉と鳥の囀りが聞こえてきたかと思うと、左手が俄かに光り出した。
「雷に、お前の砂は耐えられるか」
手から迸る雷が全
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