四十五 炎の記憶
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紙面をざっと眺める。目の色が変わった。
何も書かれていなかったはずの紙面には、ダンゾウと大蛇丸が取り引きしていた事実を裏づける証拠がびっしりと綴ってあった。
「こいつは特殊でな。焼いたモノ全てを記憶し、紙媒体に転写する習性を持つ。たとえば最初に焼いたモノが情報や画で、次に焼いた物が巻物などの紙だった場合。この火は巻物を情報記録紙と判断し、それを媒体とする。複写機のようなモノなんだよ」
文字、或いは映像、或いは画。それらを情報と判断し、書物や巻物といった紙を記録媒体とする。その情報を複写し、定着させるには別の紙媒体を燃やせばよい。
巻物を燃やしたとしてもそれ自体は焼失せず、以前燃やした情報が熱を持ってその紙媒体に付着する仕組みとなっている。要は最初に燃やした文や画が紙媒体に転写されるのである。勿論炎としての役割も担っており、ただ燃やす事も可能。
ダンゾウと大蛇丸。互いに互いが用心深い輩同士、相手の取り決めを示す物件類が残っているとナルトは踏んでいた。
故にわざわざ自らを囮とし、多由也に大蛇丸の部屋を物色してもらったのだ。案の定室内には、里の詳しい地形が載った地図や本選会場の見取図・暗部服一式等があった。そして決定的はダンゾウと大蛇丸の署名が施された血判状。
それら証拠を写真に収めさせ、情報として青い炎に記録させるのが目的だったのである。
大きい街はたった数年の間にも意外と変わるものだ。如何に木ノ葉の里出身だからと言って隅々までが以前のままとは限らない。故に詳しい地形が載った地図が大蛇丸には必要だった。また暗部に扮する為に暗部服一式や本選会場の見取図等も手に入れなければならなかった大蛇丸は、それらを秘かに盗み取れたにも拘らず、ダンゾウ本人に同盟を持ち掛けた。その理由は一つ。
ダンゾウ率いる『根』を敵に回したくなかったのだ。
木ノ葉の忍びに加えて『根』と敵対すれば手を焼くのは必須。元一員だったからこそ大蛇丸はダンゾウと手を組むのを選んだ。望むべきは『木ノ葉崩し』の黙認。
その申し出をダンゾウは呑んだのだ。火影の椅子を提供するのを条件に。
ダンゾウは正直焦っていた。光の中の木の葉である猿飛ヒルゼンを影から支える根として彼は生きてきた。だが年を経るたびに火影として木ノ葉の里を守りたいという一抹の野望が頭を擡げてきたのである。
己の対となる猿飛ヒルゼンは、光だ。『プロフェッサー』または『忍びの神』と謳われ、皆に慕われる、正に完璧な火影。対して自分はどうだ。
光とは対極の闇。太陽の陽射しが届かぬ、深い闇にひっそり潜む根だ。
一度はあの王座についてみたい。死ぬ前に里の頂点――歴代火影に自分の名を刻みたい。
胸の内に芽生えた野望の種は日に日に大きくなり、大蛇丸に取り引きを持ち掛けら
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