四十五 炎の記憶
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で返した。大蛇丸がサスケに目をつけている事などとうに知っているだろうに、と付け加えられ、ダンゾウは片眉を吊り上げた。
「だからこそ監視していたのだ。大蛇丸の魔の手から守る為に」
「違うな」
一蹴。見事なまでに堂々とナルトは反論してみせた。ダンゾウの眉間の皺が一層深くなる。
「機会を狙っていたのだろう?畑カカシの庇護から離れる瞬間を」
ナルトの発言にダンゾウは目を瞬かせた。やがて片頬を歪める。嗤ったようだった。
「それならばなぜ会合の合間に消されなかった?あの時畑カカシは会議に参加する為、一度サスケから離れたはずだ」
火影を始め、木ノ葉の忍び達―上忍や特別上忍といった一部の者が額を集める議場。その会合にてカカシは月光ハヤテが意識を取り戻した事・大蛇丸に関する議論を行い、また自来也とも挨拶している。確かに彼はその時サスケを一人にしていた。ダンゾウの言う事は道理に適っている。
だがそのもっともな指摘にもナルトは動揺一つしなかった。
「観客がいなければ意味が無いからだよ」
「なに?」
「騒ぎに乗じてサスケを暗殺し、誰に殺されたのかわからないようにする。そしてその罪を別里の忍びに被せる…。今回の場合、音と砂かな」
「…なぜそう言い切れる?それに今の言葉だと、まるで直に戦争でも起きそうな物言いだな?」
「まるで、じゃない。事実だ。そしてそれは、貴方が一番熟知している」
何しろ、大蛇丸本人から聞いたのだから。
唇のみで囁く。無言の声は正しく、ダンゾウに伝えられた。
事の次第を知らぬ『根』には、あえて聞こえないように。ダンゾウ以外でその唇の動きを読めたとしたら、それは崖上の猫だけだろう。
「…………」
一瞬ダンゾウは言葉を失った。次第に爛々と黒く燃え上がる瞳。カツンと響いた杖の音が怒りを露にしていた。
「…何の証拠があって、そのような言いがかりをつける?根拠は何だ」
珍しく切羽詰まった口調の主を、部下達は驚いて振り仰いだ。だがダンゾウはその驚愕を孕んだ視線を気にも留めず、ナルトを凝視していた。
何時になく硬い顔つき。彼の動揺を推し量り、ナルトは黙って微笑んだ。
おもむろに手を懐へやる。再びクナイに手を掛けた部下をダンゾウが視線で制した。それを目の端で確認した後、巻物を広げてみせる。その紙面には何も書かれていない。
怪訝な表情を浮かべる彼らの眼前で、ナルトは巻物を空中に放り投げた。空中回転する巻物の下で指を鳴らすと、その指先がぽっと輝く。青い炎。
回転しながら目前まで墜ちてきた巻物が炎に包まれる。燃え尽くされたかのように見えたが、巻物は何事もなくナルトの手の内に納まっていた。
焦げ跡一つないそれをナルトは無造作に放り投げる。受け取った巻物をダンゾウは見るからに疑わしげな表情で広げた。
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