四十五 炎の記憶
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本選会場は試験が始まって以来の騒がしさであった。
待ちに待った試合に歓声を上げる者。喧々囂々と声援を送る者。そしてその中には、虎視耽々と暗殺を企てる者の姿もあった。
「暗部が十六人。四小隊か…。少し、多過ぎないか」
「この広さだ。仕方なかろう…――――始まるぞ」
会場に配備された暗部の数。少し腑に落ちない顔で首を傾げたカカシの疑問をガイは大して気に留めなかった。ガイに促され、カカシもまた対戦場…特に自分の教え子を注目する。
緊張感の漂う試験会場。うちはの生き残り―うちはサスケと、砂瀑の我愛羅。
明らかに激戦となる予感を覚え、生唾を呑む観客達。先刻とは打って変わって、しんと静まりかえった会場で試験官の開始の合図が言い放たれた。
試合開始直後、対戦相手の様子がおかしい事にサスケは逸早く気づいた。出方を窺う。
ぶつぶつと独り言を言う我愛羅を気味悪げに見ていたサスケは、彼が正気に戻ったのを見て取ってやっと勝負を仕掛けた。
まずは小手調べとばかりに手裏剣を投擲。容易に砂で防がれる。だが既にサスケは我愛羅の懐に潜り込んでいた。殴り掛かる。
彼の拳を砂で防御しようと構える我愛羅。だが次の瞬間、視界からサスケの姿が消えた。驚きに目を見張る。背後で風の音がし、我愛羅は弾かれたように後ろを振り返った。同時に感じた既視感。
頬に衝撃が奔る。ピシッと罅の入る音がした。
殴られたのだと気づいたのは吹き飛ばされた後だった。「それが【砂の鎧】か」と言い放つサスケを我愛羅はじろりと睨みつけた。
目で追えず、砂で追えず。予選試合にて垣間見えたロック・リーの動きを倣う。いやむしろ彼そのものだと言えるほどの体術を繰り出したサスケは、すっと拳を掲げた。挑発する。
「その鎧、剥ぎ取ってやるよ」
ポロッ…と砕かれた頬の欠片が両者の足下で砂と化した。
「痴れ者が、いい加減にしろ!!」
怒鳴る。飄々と風が唸る崖上で、その怒声はよく轟いた。
「部外者の分際で木ノ葉を侮辱するか!火の意志を抱く我ら、同じ里の仲間に手は出さん!!」
「所詮それは大義名分だ。平和な里としての体裁を保つ為のな」
ダンゾウに代わって声を荒げる『根』の一人を、ナルトは淡々と見上げた。
剥き出しの岩壁がそそり立つ嶮岨な場所。その中でも強烈な風に最も打ちすえられるだろう地点にいるナルトは、細身でありながら微塵も揺るがなかった。瞬き一つさえせず、ダンゾウを真正面から見据える。
一方のダンゾウは部下の抗議をただ黙殺していた。ようやっと口を開く。
「うちはサスケは一族の最後の生き残りだ。貴重な人材を見す見す殺すと思うか?」
「里の為…と言ったら?」
木ノ葉の里を第一に考えるダンゾウに、ナルトは質問を質問
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