第八十一話 過去
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時に【博麗の巫女】・・・【博麗霊夢】がフランの静めてくれた。それからフランは外の世界に興味を持ったのよ」
レミリアは一通り話すと紅茶を口にして、溜め息を出す。
「これが私の過去・・・。そして私は力の制御なんかしてあげていないわ。私は・・・ただ逃げたのよ。運命に・・・恐怖に立ち向かう事も出来ずに・・・」
レミリアはその事に段々に苦虫を噛むような表情を浮かべ、軽くではあるが涙を流した。その顔は吸血鬼だと言う事を忘れてしまいそうな程の、一人の少女の顔だった。そして今までの罪悪感が彼女に襲い掛かり、その壁が壊れてしまったのだろう。闇慈はそれを懐に入れていたナプキンで優しく拭う。レミリアは少し赤面した後、元のカリスマ顔に戻った。
「それで・・・貴方は制御の事を聞きに来たのだけど・・・さしずめ、自分の力の制御に役立てるつもりだったのかしら?」
「違う・・・と言ったら嘘になります。僕はもう・・・あんな思いをしたくはない。そのためには少しでもヒントとなるものを探していたんです。でもやっぱり・・・こう言ったことは自分の力で見つけないといけないみたいですね。では失礼します、お嬢様」
闇慈はゆっくり席を立ち、ドアに向かったがここであることを思い出したのか振り返り、レミリアに向き合った。
「お嬢様。僕は未だに心を過去に囚われたままですが、一つだけ言えることがありますよ?例え貴女がやり方を間違っていたとしても、フランを想う心は変わらない。それは大切な事だと僕は考えます。そしてその心もフランは気付いている筈ですよ?何故なら・・・貴女のたった一人の妹なのですから」
闇慈はそれだけど言い残すと、部屋から出て行った。レミリアはフウと溜め息を付くと紅茶を再び口にして、空の月を眺める。
「たった16年しか生きていない人間にここまで励まされるなんて思ってもなかったわね。・・・黒神闇慈。貴方って本当に面白い奴よ。サーゼクス・・・貴方が羨ましいわ」
こうして闇慈の一日の給仕は終了した。
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