弐ノ巻
霊力
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そう気がつけばいやにお腹がすいていることに気がついた。
途端にぐ〜とあたしのお腹が鳴ると、小萩はぽかんと目を見開いたあとにやっと笑顔を見せた。
「えーと悪いけどなんか食べたいかな…」
流石に恥ずかしくて顔を逸らせながら言うと、小萩はすくっと立ち上がった。
「すぐにお持ちいたしますわ」
小萩が出ていったあとに、枕元に水が置かれているのを見つけてそれを飲んだ。
あーおいしい。ただの水だけど。
それにしても、あれから7日もたっているだなんてあたしただの風邪じゃなかったのかな…でももう熱もないし、ものすごい寝不足だったなんてことは…ないよなぁ。
あたしははっとした。
姉上様や、義母上や…兄上は?あれから7日も過ぎたなら具合も少しは回復している筈。
考え始めるといてもたってもいられなくなって、そっと立ちあがると最初に身体を起したときのような目眩はなかった。
よし。小萩には悪いけど、あの子のことだから持ってくるまでにいろいろ気をまわして時間がかかるだろうから、その間にちょこっと様子だけ見てこよう。
あたしは最初に兄上のところに向かった。
「兄上…?」
遠慮がちに兄上の室の前で声をかけた。返事はなかったから、障子を押しあけたら布団に寝かされた兄上がいた。
もう昼も過ぎようかというころなのに寝ているのは、やっぱり体調が戻っていないからよね…。
そっと近付いてあたしは枕元に座った。
顔色は、悪い。血の気が通っていないような青白い顔で深く眠っているようだった。
あたしは手を伸ばして兄上の頬に触れた。兄上の瞼がゆっくりと持ちあがった。
あたしは兄上を起してしまったことに動揺してぱっと手を引いた。
「…瑠螺蔚か。目が覚めたのか」
兄上は小萩みたいに取り乱すこともなく、落ち着いていた。まるでいつも通りに目が覚めた妹に声をかけるように淡々としていた。
「兄上…具合はどう?」
兄上は上半身を起こした。
「もう、平気だよ。瑠螺蔚は、苦しいところはないかい?」
「あたしももう平気。でも兄上、まだ顔色わるい」
兄上はふっと笑った。
「瑠螺蔚こそ、姿見をみてみるといい。大分痩せた」
まぁ7日も飲まず食わずで寝てたら誰でもそうなるだろうけど。
「それだったら丁度いいわね。今までの分を考えると」
「だめだよ。今までのま
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