第二部まつりごとの季節
第三十一話 わりと忙しい使用人達の一日
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をもってきたんだけど、どっかいっちゃったみたい。
まだ屋敷にいらっしゃる筈なんだけど知らない?」
「知らないけど、どっかしらで昼寝してるんじゃない?気が抜けるとダメ人間だし」
「酷いな。今の俺は結構忙しいんだけどなぁ」
ふらり、と何時の間にか見なれた顔が宮川の後ろにあらわれた。噂をすれば何とやら、と云うのだろうか。
「豊久様、何でしょうか?」
「悪かったね、宮川。山崎のとこの奴に父上のところへ言伝を頼みに行ってさ、その帰りに若気顔(にやけがお)の少年を見かけて少し様子を見に来たのさ」
玩具を見つけた猫の様に目を輝かせている豊久の隣で宮川と視線を交わし、二人で苦笑を交わす。
――そんな暇があったら貴方はまずさっさと身を固めろと言いたい。
「それだけで私のお使いを忘れたのですか?」
柚木から見ればわざとらしいのだが豊久はわたわたと言葉を探っている。
「いや、いや、それだけではないけれどさ」
視線を逸らしている姿を半眼で眺めながら柚木は最近は彼方此方へ出かけていた事を踏まえて確認する。
「・・・・・・それで、豊久様は、今日はお出かけなさいますか?」
「いやいや、俺は留守番さ。ま、そうそう来客なんて来ないだろうし、ゆっくりさせて貰うよ。
というかそれで珍しく辺里が捕まらないから一応、柚木に確認しにきたけれど来客はないよね?」
頭の中で予定表を広げるとデカデカと赤字で|大仕事(やっかいごと)が記されている。
「予定では午後にお客様がいらっしゃいます」
「ん?誰が?」
「弓月の殿様がいらっしゃるそうです。」
「何だと? 何時の間にそんな話が?」
「若殿様がお帰りの際に御一緒する予定と仰せでした。」
くしゃりと少し伸びた髪を掻き回しながら豊久が慌てたように尋ね、柚木の言葉を聞いてくらり、と足下をふらつかせた。
「ま、た、父上か。」
こめかみを抑えながら呻く豊久の姿に柚木は声を出さないように笑った。
――毎度毎度、遊ばれていますねぇ。
「――何人来る?」
「弓月様お一人と拝聴しております。」
拗ねた口調で尋ねるが柚木の答えを聞くと一瞬ではあるが残念そうな表情を浮かべるのを柚木は見逃さなかった。
――やだ、面白い。
「あぁ、そう。――何だい、その目は。」
今度は見逃さなかった豊久がじとりと半眼で睨んでくるが
「何がですか?」
か弱い使用人が満面の笑みで反駁すると憮然とした返答を残し、部屋を出て行った。
「――何でもないよ」
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同日 午後第三刻 馬堂家上屋敷 第三書斎
馬堂家使用人 柚木薫
柚木が訪れた書斎には唸り声が響いていた。
「御休みになられていますね。」
「ついでにうなされていますねぇ。」
辺里
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