第六章 贖罪の炎赤石
第五話 天駆ける赤き猟犬
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ものだった。
何の策なく進めば、簡単に見つかり相手に迎撃の準備を与えることになってしまう。そうなれば、例えロサイスに上陸することが出来たとしても、上陸の際に戦闘が起きてしまう。ロンディウムの城を攻める前に、兵を消耗してしまえば、落とせる城も落とせなくなる。
どうすればいいかと煮詰まる将軍たちが最後に頼ったのは、女王から預けられた切り札であった。
切り札……つまり、ルイズのことだ。
最初将軍たちは、タルブの時と同じようにアルビオン艦隊を吹き飛ばすことを望んだが、ルイズの無理という言葉に、ならば陽動をお願いしますと、ルイズに問題を押し付け会議は終了した。
「……さて、どうするか」
「……どうしよう」
改めてことの難しさを感じた士郎が顔をしかめると、後ろを歩くルイズも顔を俯かせ考え込み始めた。 暫らくの間、二人が難しい顔をして考え込みながら歩いていると、不意に士郎が後ろを振り向いた。視線は後ろを歩くルイズの後ろ。視線の先には、急に振り向かれ、驚いたように目を見開く六人の貴族の少年たちがいた。少年たちは、皆お揃いの革の帽子を、青い上衣を着ている。腰には、通常の杖よりもかなり短めな杖が。それを確認した士郎が、その鷹の様な鋭い目をすっと細めると、貴族の少年たちがビクリト身体を震わせ一歩後ずさった。
「俺に何か用か?」
「い、いや……そ、その、だな」
士郎の鋭い視線に晒された少年たちが、互いに視線を交わし合うと、中からリーダー格と思われる少年が一人前に出て来た。
「す、少し聞きた……お聞きしたいことがあるのですが」
声と勢いが尻すぼみに小さくなっていく。
身体も同じよう縮こませる少年の姿に、士郎が視線を少し緩め、苦笑いを浮かべる。
「何だ?」
「甲板にあるアレが何なのかと」
視線が弱まったことに、少年が安堵したように小さく息を吐きながら、士郎に質問する。質問の中にあるアレが分からず、士郎は無意識に目を細めてしまう。怒らせたかと少年たちがビクリと身体を震わせたが、リーダー格の少年が勇気を振り絞り、ググッと顔を上げ、
「か、甲板まで付いてきていただけませんか?」
「ほら見ろやっぱり生き物じゃない! ぼくの勝ちだ! さっさと一エキュー払え!」
「くっそー、まさか本当に生き物じゃないなんて……」
ゼロ戦が係留された上甲板に少年たちの悲鳴が響き渡る。ゼロ戦の前に集まった貴族の少年たちが、一人喜色を浮かべる太った少年に、ポケットから取り出した金貨を手渡していく。
上甲板まで士郎たちを連れてきた貴族の少年は、甲板に係留されたゼロ戦を指差し「これは生き物なんですか?」と聞いてきた。士郎がそれに「生き物ではないな」と応えると、目の前にこの
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