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剣の丘に花は咲く 
第六章 贖罪の炎赤石
第五話 天駆ける赤き猟犬
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た。









「あ〜死ぬかと思ったわ」
「大げさだな」
「大げさじゃないわよ! 何が『ソウジュウカンを握ってればいいだけだ』よ! 握った瞬間墜落しそうになったじゃない! めちゃくちゃ怖かったわよ!」
「すまんすまん。だがまあ怖い目にあったおかげで、飛ばすことは出来るようになっただろう」
「飛ばすことだけ(・・)はね!」

 プンプンと怒るルイズに苦笑しながら、士郎は前を歩く士官に目を向けた。
 無事にゼロ戦を『ヴュセンタール』号に着艦させた士郎とルイズは、甲板士官のクリューズレイと名乗った男に連れられ、現在艦の案内を受けている最中である。士郎たちが利用する部屋に案内された後、今また、狭い艦内の中を案内されているのだった。

「少々お待ちください」

 士官は後ろにいる士郎たちに、そう声を掛けると、目の前にあるドアをノックする。ドアの向こう側から、くぐもった男の入室を許可する声が聞こえてきた。声に従い、士官がドアを開けると、士郎たちは狭いドアをくぐる。小さなドアの向こうにある部屋は、今まで案内された部屋の中で一番広かった。部屋の中央には、大きなテーブルが設置されており、その周りには、将軍たちが座っている。
 最初にドアを通ったルイズは、強い視線を一斉に向けられ固まっていた。
 士郎はカチカチに固まったルイズの背を軽く押し、従兵が引いた椅子に向かわせる。のろのろとした仕草で、ルイズが椅子に座るのを確認した士郎は、その後ろに無言で立つ。ルイズが座った椅子は、テーブルの一番端。ドアの一番近く、下座にあった。ルイズが椅子に座ると、それを待っていたかのように、ルイズの目の前、上座に座る将軍が口を開いた。

「アルビオン新港郡総司令部へようこそ。ミス・ヴァリエール……いや、ミス・『虚無(ゼロ)』と及びしたほうがよろしいかな?」
「……ふぅ……いえ、ミス・ヴァリエールでお願いします」
「わかった。それでは、ミス・ヴァリエール。まずは自己紹介といこうか。私は総司令官のド・ポワチエです――」

 揶揄うような将軍の物言いに、生来の負けん気を刺激されたルイズは、小さくため息を吐くと、淑女然とした笑みを浮かべ頷いた。
 ルイズの落ち着いた対応に、居並ぶ将軍たちの顔に、感心したような色が一瞬浮かんだ。ルイズの目の前に座る将軍は、ルイズの返事に頷くのを見ると、自己紹介を開始した。自分の紹介が終わると、ド・ポワチエ将軍は、会議室の中にいる将軍たちを紹介し出す。会議室の中にいる主だった者の紹介を終えると、ド・ポワチエ将軍は、次に会議室にいる将軍たちに対し、ルイズの自己紹介をを始めた。

「――それでここに居るのが、タルブの空で、アルビオン艦隊を吹き飛ばした『虚無』の……」
「ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・
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