第六章 贖罪の炎赤石
第五話 天駆ける赤き猟犬
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ベールは、身体を小さく震わせていた。
何故震える?
怯えているからか?
怖がっているからか?
知られているのではないかと?
気づかれているのではないかと?
ああ、確かに俺は気付いている。
何があったかは知らない。
だが、何かがあったということは……分かる。
……会ったことがあるからな。
同じ目をしている人達に……。
……彼らは常に後悔していた。
もがき、嘆き、悲しみ、叫び……
自分がしてしまったことに苦しみながら……。
……迷い……惑い……悩み……苦しみ……。
そして……選んだ。
逃げないことを……。
償うことを……。
戦うことを……。
……コルベール先生……。
あなたはそんな人たちによく似ている。
だから……信じられる。
だから……頼れる。
目を背け、逃げ出すことは簡単だっただろう。
時に身を任せ、忘れることも、出来たかもしれない。
しかし、あなたは逃げなかった……忘れなかった……。
前へと……進むことを決めた……。
そんなあなたを……。
「信じられないわけがない」
「シロウくん?」
士郎が口にした言葉は小さく。コルベールの耳に届かない。コルベールが顔を上げると、疑問が浮かぶ顔を士郎に向けた。
「何でもありません」
軽く頭を振ってみせると、士郎は口の端を小さく緩めただけの笑みを向け、
「なぜ、俺がキュルケにあなたを頼るよう言ったかについてですが……似ているからですよ、あなたが」
瞳を悲しみの色を混ぜながら、
「……俺に……」
呟いた。
「すごい光景だな」
「ちょ、ちょっと話しかけないで……だ、大分な、慣れてきたけどまだ怖いのよ!」
「まあ、こういうのは習うよりも慣れろだからな、もう少し続けてみろ。やってみたいって言ったのはルイズからだろ」
士郎の足の間に座ったルイズが、頭の上から降ってくる声に対し、硬い声で非難している。風防の向こう側には、空に浮かぶ無数の艦隊の姿があった。全長が五十から百メイルの巨大な船が、列をなして航行する姿は、見惚れるに値するだけの光景だ。しかし、そんな光景を喜ぶ余裕が、ルイズにはなかった。
艦隊に向かって進むゼロ戦は、風に煽られるようにフラフラとした動きを見せている。別段風は強くはなく、理由は別にあった。
その理由とは……。
「やってみたいって言ったけど! 本当にやらせてくれるとは思わないわよっ!」
ルイズが操縦をしているからであっ
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