第六章 贖罪の炎赤石
第五話 天駆ける赤き猟犬
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「使用する呪文は昨晩決まりました。既にそれを使用しての作戦を立案しております」
「作戦の計画書を」
ド・ポワチエ将軍が隣に立つ参謀に手を差し出すと、参謀が書類の束を差し出す。ド・ポワチエ将軍が渡された紙を眺める。
「ふん。これなら上手くいくかもしれないな……伝令!」
「はっ!」
伝令が駆け寄りド・ポワチエ将軍の前に立つ。
「『虚無』を『ダータルネス』へ出撃させる。仔細は全て任す。護衛は第二竜騎士中隊に任せる」
「はっ! 了解しました!」
伝令が士郎たちが待機する上甲板に走り出す。走る伝令の背中を一瞥したド・ポワチエ将軍は、戦艦隊に命令を発した。
「輸送船団を絶対に守り抜けと、戦列艦の艦長たちに伝えろ。さて……『虚無』の実力の程はどれほどのものか……」
士郎は上甲板に固定されたゼロ戦に乗り込み、発進の準備を整えていた。ゼロ戦の後部座席にはルイズが乗り込み目を閉じている。
士郎はチラリと精神を集中するため目を閉じているルイズの姿を確認すると、手に持った作戦の計画書を眺めながら点検を行っていた。
昨晩今回の作戦で使用する魔法を見つけたルイズは、直ぐにそれを参謀本部に提出した。参謀本部は直ぐにそれに元に作戦を立案し。一つの計画を立てた。その計画書の写しが、今士郎が手にしているものだ。
「……結構遠いな」
「竜騎士が護衛する。お前はとにかく『虚無』殿をここまで連れて行くことだけに集中しろ!」
「わかっている」
ゼロ戦の翼に上った甲板士官が、士郎に羊皮紙を広げ、その中の一箇所を指差しながら怒鳴りつける。士郎はそんな甲板士官に顔を向けずただ頷くだけ。
「竜騎士からはぐれるなよ!」
「っ……そろそろ出る。離れろ」
「は? 何を……」
士郎が唐突に顔を上げると、目を細めながら甲板士官に声を掛ける。甲板士官が訝しげな声を上げると、カンカンカン! と激しく打ち鳴らされる音が響いた。
「な、何だ!」
「敵だ」
慌てる甲板士官に向け、士郎が冷静に呟く。
士郎の視線の先に、遥か遠くの雲の中から、数多くの戦艦が降りくる姿があった。
「『虚無』は出撃されたし! 目標は『ダータルネス』! 仔細は自由! 護衛は第二竜騎士中隊が全機をもってあたること!」
甲板に飛び出してきた伝令が声高に叫ぶと、士郎はゼロ戦の近くに控えたメイジに声を掛けた。
「説明した通りに回せ!」
「わ、分かりました!」
事前にプロペラの回し方を教えていたメイジが、プロペラに強風を送り回し始める。プロベラが勢い良く回り始めるのを確認した士郎が、エンジンの点火ボタンを押す。低い重低音を轟かせながら、プロベラが回る勢いが更に強くなる。
「ロープを切り
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