第一物語・後半-日来独立編-
第二十一章 変化の始まり《1》
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円外にいる美兎の声を聞き、張られた防壁を見た。
更に視界のなかには威嚇射撃を行った戦闘艦が見え、低速だがこちらに近づいている。
呑気にし過ぎたことが仇だったことを思いつつ、別にいいかと開き直る。
すると戦闘艦の前に大きな映画面が現れた。通信中と表示されたそれからは、中年男性の声がこちらへと飛んだ。
『日来の覇王会長の脱走を確認し、会議場にいることを確認した。直ちに会議を中止し、長をこちらに渡してもらう。もしこれを拒否した場合は、日来の独立行動と捉え、監視ではなく本格的な制圧行動を取らざるおえない。更には今後一切の抗議を禁止とし、奥州四圏の指示に従ってもらうこととなる』
確かに届いたその声は、日来を静かに震え立たせた。
加速機から放たれる音は、唸り声のように空気を振動させる。
さすがにやばいと感じながらも、会議場は至って平然としていた。変化に慣れやすいようになってしまった彼らの性格ゆえだろう。
監視を行っている戦闘艦は、今の日来にとってはそれが当たり前だと思われている。だから必要以上に慌てはしない。
コンクリートで固められた地面から見上げ、大きく一つあくびをしたセーランが退屈そうに体を左右に振りながら、
「空から邪魔が入ってるけど気にするなよ」
言い捨て、空の声を無視するように言う。
「いいか、よく聞け。そしてもう一つ日来を残す理由、それは崩壊進行の解決。
今の時代、国と国とは手をまともに取り合おうとはしない。そこで俺達の登場だ。奥州四圏から独立して神州瑞穂の一地域として世界を巡り、崩壊進行の解決のため全力を尽くす。これによる俺達の利益は名誉と他国からの信頼。ここで誰かが世界のために動かなけりゃあ、人類は救いを求めても滅亡するだけだ」
誰かがではない、自分達が動かなかければこの世界は動かない。
独立したからいいのではないのだ、世界を救わなければ結局は日来は滅びてします。
日来を残す理由の大半は流魔の枯渇を予想したためだが、そんなことは考えればすぐ分かる筈なのに何故人類は万象宗譜|《トータルスコア》を消そうとしてるのか。そこが個人的に気になるため、それを知るために日来を餌として残したいだけなのかもしれない。
だが、日来を動かすことで支配だけを意識したこの世界に、何かしらの影響を与えられるのであれば行動する意味はある。
セーランは息を吸い、
「だからこれから俺達がやることは大きく三つだ」
黄森の言葉を無視し、日来の長は言葉を紡ぐ。
さすがにこの態度には彼方も腹を立てたのだろう。空から防御壁を破るように容赦無い三発の威嚇が来た。
青い光を放つが、防御壁にぶつかると同時に閃光を放ち消えた。
音が轟くなかで、セーランは人差し指を立てる。
「まず一つ、日来の独立のため行動を起こすこ
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