第一物語・後半-日来独立編-
第二十一章 変化の始まり《1》
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のは人の同然の思考だろう。
だがその思考を証明するのが、アマテラスの流魔を生成する能力だ。
神はこの世に不必要な能力は得ない。得るとすればそれは堕ち神と呼ばれる神の座から堕ちた神だけだ。
聞いたうえで、社交院は葉木原ではなく神崎が今度は相手になる。
「確かにその考えは一丸に間違えとは言えないね。神のなかには流魔を消滅させる能力を得ている神もいるし、ならこれは過去にも流魔の飽和が起こったことを示している。今では流魔を消滅させる加護を転用した系術で崩壊の進行を食い止め、それが最善の方法とされているしね」
「だか、過去にそれを止めることは出来なかった」
飛豊の声に頷き、神崎は同じ線上に立つ自分とは正反対の右端に立つ鷹代に何かを頼むように頭を下げた。
了解の頷きを得て、社交院と覇王会の間の映画面|《モニター》にあるものを表示された。
古い資料、傷んだ紙や今では見ない二輪の乗り物。他にも硝子張りのビルが群のように立つ景色や、今の学勢院の元になった学校などが表示される。
一定の速度で複数枚の映像は切り替わり、皆はそれらを目で追った。
はいはい、と神崎は手を打ち、皆の映画面に向かった集中を自分へと向けさせる。
「これは前、遠い昔に起こった崩壊前の時代のものだ。今では崩壊世界と呼ばれている時代のものでね、しかし今ではこれをその当時のままで見ることは出来ない。それは何故か、分かるね?」
「……終焉だな」
飛豊の答えに頷く。
「そう、終焉さ。この世界で私達人類が確認出来た唯一の崩壊の最後だ。崩壊進行を止めなければいずれこの星は過去と同じような結末を辿る」
「おいおい神崎のおっさん、これ会議なんだぞ、敵が俺達を味方するようなこと言うなって」
「会議の戦術の一つ、叩き潰しだと思ってくれ。二度と終焉を起こさせないために、我々社交院は日来の独立は必要事項だと考えている」
「なあ飛豊? これって明らかにお芝居だってことバレるよな。もう会議じゃないだろこれ」
「後輩の娘さんとは違って神崎さんは危機感薄いからなあ、どうしようもない」
と、言葉の後。空からこちらに向かっていたドラゴン級戦闘艦が副砲を鳴らせた。
大気を貫く流魔を凝縮した威嚇用の砲撃が、狙い社交領の建物屋上を行く。
砲撃を飛ばす大音が響き、高速に空気を貫く音と共に来た。
だが会議場上空を抜こうとしたとき、砲撃は流魔光を放ち威力を削がれ消えて無くなった。
流魔光が風に吹かれ消えるとき、砲撃を防いだ防御系加護が現れた。当たったときの衝撃により社交領を取り囲む半球の防御壁は青の波紋を流していた。
「おお、さすが長莵神社、予想以上の防御力だ」
「父さんが一応、一段階上の防御系加護の方がいいと言ってくれましたので」
「そうかそうか、なら後で一杯おごらないとな」
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