第一物語・後半-日来独立編-
第二十一章 変化の始まり《1》
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空に浮いているのは一人は青の線に支えられ宙に浮いている少女、もう一人は右腕が無い少年だ。
周囲の者達は落ち着いた気持ちを再び上げた。
お、と叫ぶような声を出し、目を見開いた。
この会議を映画面|《モニター》越しに見ていた者達も同様で、椅子に座っていた者は立ち上がり、目の細い者は限界まで目を開き、静かな心の者は内心跳ね上がるような感情を得た。
患者や訪れた人のために映画面を表示している大病院のなかも騒然とし、監視を行っていた黄森の隊員は日来の長の病室のなかを確認する。
病室のなかでは日来の長に似た形をしたものだけがあるだけで、日来の長本人は見当たらない。
ただ日来の長に似た人形の胸の前に“今後は室内で監視をしましょう”と青の文字が浮いているだけだった。
やられた、と言うように隊員は慌て、本部に連絡を飛ばした。
●
飛豊は予想外の事態に、頭のなかが一瞬ショートした。
この場にいた者の殆どが自分と同じであったが、社交院の四人と円の外にいる明と美兎だけがまるでこれを予想していたかのように落ち着いている。
何故だ、と思う気持ちよりも先に言葉が飛んで来た。
「ははは、頑張ってるなあお前ら」
「セーランお前、何やってるんだ」
屋上に立つセーランは左の手から伸びた青の糸を操作し、浮いた美琴を屋上へと優しく落とす。
下から自分に指を向ける飛豊を見下ろすように、柵に手を付き上半身を突き出す。
「何って監視脱け出して、辰ノ大花のこと調べて、美琴が迎えに来たからここに来たんだよ」
「監視無視して脱け出したら黄森が敵に回るんだぞ」
「だな、あ、ドラゴン級戦闘艦がこっちに来てるわ」
「「終わった――!!」」
初めて皆の息が合った。素晴らしいことだ、とこの状況とは関係無いことに関心を持つ。だが、違うだろと一人でボケとツッコミをやってしまった。
遠くの空からは、こちらに向かって来るであろう戦闘艦の加速機が聞こえる。
長を捕らえに来たのだ。更にこれと同時に会議自体を中止、後には黄森の監視が強化され日来は身動きが完全に押さえられるだろう。
このことを見越してか、セーランは社交院の方を向く。
「上手くいってるじゃんかよ」
「ふん、子供|《ガキ》の考えに付き合う大人は苦労が増える」
不機嫌そうな表情で葉木原は見上げる。左側で音を出さず笑っている神崎と倉澤を黙らせ、上を見たままで言葉を言う。
誰もが騒然としているなか、確かに声は周りに届く。
「時間も無い、会議の続きを始めようか」
おう、とセーランは頷く。
後ろに這いつくばる隊員が声を上げているが、その声が仲間に届くことはなかった。
周囲が上や下を交互に見ながら、落ち着きを取り戻した。
取り残されかけている飛豊はここぞとばかりに、言葉
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