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SAO─戦士達の物語
GGO編
百十二話 待つ者
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事態をどう説明した物か、美幸は一瞬だけ迷う。しかし即座に結論を出し、返した。

「それで……えっと、りょうと、これから会おうかなって」
嘘は言っていないが、大分過程を省略している。
とは言え今は既に午後九時を回っている。最悪、却下される恐れも……

「あら、夜這い?美幸、大胆になったのねぇ……」
「な、なななな、なに言ってるの!?そそ、そそそ、そんな、そんな」
行き成りの発言にパニックを起こす美幸に、真理はうふふと笑う

「冗談よ、冗談。それとも本当にそうだった?あ、もしかして涼人から……」
「違うってば!会うだけだよ!」
「はいはい。行ってらっしゃい。ただ、十分に注意していくのよ?貴女だってもう立派に女の子卒業に入ってるんだから」
「う、うん。行ってきます」
言われて何となく、自分の中の下程度(主観)の胸部を見そうになって……真っ赤になって美幸は玄関へと走り出す。リビングの扉が閉じると、真理は愛おしそうに、小さく言った。

「頑張ってるわね〜」

────

かなりの高速で下へと降りるエレベーターに乗りながら、サチは一人、床を見ていた。
あの時、アスナに言われた言葉が、頭の中で反響している。

『サチだって、たまには我慢やめたって良いはずだもん』

ああ言われた瞬間に、何故だか、少し嬉しくなった。心の何処かで、待つだけの、我慢するばかりの自分が嫌になり始めていたのかもしれない。
にもかかわらず、今まで待つばかりだった自分は、それ以外の方法に走ろうとせず、唯これまで通りに待つだけだった。

しかし……考えてみれば簡単なことだったのだ。

待つだけのが嫌ならば、行動すればいい。
信じて、それでも行動してみるのは、決して悪いことではない筈だ。

なぜなら……そう。

『私は、もう何もできない所に居る訳じゃないんだから』
行動できる。彼の元へ、少しでも近くへ、歩み寄ることが出来る。私は私のまま、それでも、出来ることはしてみたいから。

「うんっ」
顔を上げると同時に、エレベーターの扉が開く。
開いた向こうに見えた少女の瞳には、強く、綺麗な、決意の光が宿っていた。

Fifth story 《照らされる死》 完

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