GGO編
百十二話 待つ者
[6/10]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
署の公務員さんで、VRMMOの研究がてらALOやってるって聞いてたけど……」
その問いに答えたのは、菊岡本人だった。隠すことでも無いのか、すらすらと自分の立ち位置を説明していく。
「その通りなんだがリズベット君、昔はもっと別の仕事をしてたんだよ。僕は、総務省の《SAO事件対策チーム》の一員だったんだ。もっとも、対策なんて何も出来ていない名ばかりのチームだったことも事実なんだけどね……」
それを聞いて、リズは少しだけ驚いたように目を見張った後、複雑そうな表情で俯いた。
菊岡自身は自嘲気味に言うが、実際の所、SAO生還者たちにとって《対策チーム》の功績はかなり大きい。
何しろ全国一万人近くいたSAOプレイヤー達を、ほぼ一斉に全国の病院に一気に移送してのけたのだ。予算確保やベットの確保は当然難航したが、硬軟合わせ持った粘り強い交渉でチームは関係各省を動かし、それらを動かしたのだと言う。ちなみにキリトの話しでは、その中心人物だったのが菊岡なのだそうだ。無論、現在SAO生還者は全員《対策チーム》の奮闘を知っており、感謝こそすれ、恨んでいる者等先ず居ないだろう。
怒りと、恩との間で板挟みになったのか、黙り込んでしまった面々に変わって、アスナが静かに言った。
「……クリスハイト、確かに私達にも、死銃がどうやって人を殺しているのか、その仕組み自体は分からない。でも、だからってキリト君やリョウだけが過去の因縁と戦おうとするのを黙って見ている訳にはいかないの。……貴方なら、死銃を名乗るプレイヤーの、現実世界での住所や名前を突き止められるんじゃないの?簡単じゃないだろうけど……《ラフィン・コフィン》に所属していた生還者を全員リストアップして、今自宅からGGOに接続しているか、契約プロパイダに照会して……」
まくしたてるように言うアスナにクリスは慌てたように両手を上げた。
「ちょ、ちょ、落ち着いてくれアスナ君。無茶だよ、キミの言う“簡単じゃない”のランクが高すぎる。先ずそんな事をしようと思ったら裁判所の令状が必要になる。個人の住所や名前や回線の状況までチェックする訳だしね。それに、いくらなんでも僕の一存では無理だ。捜査当局に事情を説明しなきゃならない。それだって何時間かかるか……」
と、そこまで言って、菊岡は何かを思い出したように言った。
「いや、と言うか、それ以前に不可能だよ。仮想課が把握しているSAOプレイヤー諸君の情報は、あくまでもHN、RN、それに最終レベルと、ゲーム内に居た時の座標のログだけなんだ。所属ギルド名や、その……殺人の回数までは一切分からない。だから、元《ラフィン・コフィン》のメンバーと言う情報だけじゃ、死銃の名前や住所は分かりっこないんだよ」
「…………」
アスナは小さく唇を噛んだ。
死銃の話し方や雰囲気には、確かに
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ