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SAO─戦士達の物語
GGO編
百十二話 待つ者
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に今回の事件の調査を依頼した人物。即ち菊岡誠二郎だ。
ALOでの名前は、《クリスハイト》ひょろりとした長身に簡素なローブ。マリンブルーで肩わけの髪に、細い銀縁の眼鏡を掛けていて、何処か彼の現実世界の容姿を想像させる。そんな姿である。

彼に対してアスナが初めに行った一言はズバリ簡潔。「何が起きてるの」と一言だ。
まぁ、本来ならばいくら今が日曜の夜で彼が独身男性であるとはいえ「キリトとリョウのGGOコンバートの件について今すぐ聞きたいことがあるからイグシティの私の家まで来て」等と言う一方的かつ少々無理矢理な要請で彼を此処に呼び出したのだから、せめて一言謝罪はあってしかるべきであると言う事自体は彼女にも分かっていた。
寧ろ来てもらっただけラッキーだ。「今忙しい」の一言で断られれば、高校生が成人男性を呼び出す等と言う事にそれ以上いくらアスナが無理を言おうと道理は向こうに有った筈なのだから。
だが、焦燥で満ちたアスナの胸には、そんな余裕が無かった。

とぼけたように、話すことを誤魔化そうとしたクリスハイトには、ユイがネット上から調べ上げたであろう死銃事件のほぼ全容を語った。
おおよそ二分半の時間を掛けて、状況から既にペイルライダーも死亡しているであろう推測までを組み立てて説明した後、ユイはその場で傍らのグラスに寄りかかった。
彼女に対して掛かったであろう負荷を思い、アスナはその小さな体をそっと撫でて、掌の上に彼女を乗せると、小さな声で「ありがとう」と呟く。

彼女の語った事実に驚き、沈黙した面々の中で、初めに口火を切ったのは、以外にもクリスハイトの方だった。

「いやぁ、おどろいたね……君は《ナビゲーション・ピクシー》だって聞いてたけど、短時間でそれだけの情報を分析して結論を導き出すとは……流石たか……あ、いや、それよかどうだい?君、《仮想課》でアルバイトしてみたりする気はないかな?」
「…………」
あいも変わらずとぼけた事を言うクリスハイトを、アスナはきっと睨みつけた。慌てたように彼は両手を上げ、降参のポーズを取る。

「あはは。すまない、何もこの期に及んでとぼけようって訳じゃないんだ。そのこの言う通りだよ。《ゼクシード》と《薄塩たらこ》は、確かにその時刻近辺で、急性心不全で亡くなっている」
「おい、クリスの旦那よぉ……」
言い終えたクリスハイトに、クラインがバーカウンターから飛び降り詰め寄った。

「あんたキリトとリョウの依頼主だって聞いたが……って事は手前ェ、その殺人事件が起こってるの分かっててアイツらをあのゲームにコンバートさせたのか!?」
「ストップだ。クライン(うじ)
しかしそのクラインを、クリスハイトは右手で制した。少しだけ顔を伏せたことで、眼鏡の反射角度が変わり、その反射で彼の表情が分からなくなる。
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