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SAO─戦士達の物語
GGO編
百十二話 待つ者
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、何時間もの時を過ごし、それを毎日繰り返し、それでもなお、相手を信じて待ち続ける。
自分ならば、行動するだろう。強くなろうと、相手の隣に並び、相手を守るために行動するだろう。しかし彼女には、それが出来なかった。
一度味わった死の恐怖は彼女をモンスターの前には立てぬ体にしてしまったし、彼女の思い人もまた、彼女が死の危険のある場所に立つことを望まず、寧ろ拒否した。

そうして待ち続けた時間、彼女は一体どんな気持ちだったのだろう。自分には……とても真似できないと、心からそう思った。

「サチは……」
「でもね、アスナ」
「え?」
「サチは強いね」そう言おうとした言葉を、サチ自身が遮った。サチの微笑みは、再びその雰囲気を変えていた。恥ずかしげな物から……少しだけ、悲しげなものへと。

「アスナが、私みたいになる必要なんて、何処にもないんだよ?」
「…………」
「アスナは、例えば待ち合わせに相手が来てなかったら、自分から走って迎えに行く。私みたいに待ってるんじゃなくて、自分からその人の所に行って、その人と手をつないで歩いてくる。そう言う人だから。だからアスナは、アスナ自身の考え方や、そう言う気持ちも、大切にして?私と比べたりして、自分が弱いなんて思う必要、無いよ?」
「…………」
思わず、絶句してしまった。
まるで知っているかのように、サチはアスナの内心を言い当てて見せたからだ。思わず、聞いた。

「どうして、分かったの?」
「?」
「私がサチと自分を比べてるって……」
「うーん……」
言われて、サチは少しだけ考えると、苦笑しながら答えた。

「勘、かな」
「えぇ!?」
驚いたように言ったアスナに、サチは慌てたように手を横にブンブンと振った

「じょ、冗談だよ?今のはリョウの真似……でも、半分は本当かな……何となく、今までアスナと話したり、会ったりしてる内に、アスナだったらきっとそんな風に思っちゃうんじゃないかな〜って。多分、リズも分かってたんじゃないかな?」
「えっ!?」
アスナが振り向くと、リズは片目をつぶって呆れたような、苦笑するような顔で肩をすくめた。

「アンタの悪い癖よ、アスナ。自分に自信が無いってわけじゃないけど……なーんか自分の責任大きく考えすぎたり……他人の良い所見過ぎて自分の良い所見逃したりしがちなのよ。アンタは」
「う……」
確かに、以前リョウにも同じような事を言われた気がしないでもない。しかし仕方ないと言えば仕方ないのだ。人間誰しも自分と他人とを比べがちになることはままある訳で、問言うかそう考えたなら別に自分に限った事でも……と、そこまで考えた所で、部屋のドアがノックされた。

────

アスナの呼びだした「ある程度以上事情を知る筈の人物」。それは勿論、キリトとリョウ
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