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故郷は青き星
第二十二話
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投げ返した。見事な危機回避能力である。
「俺? 俺はその〜ぅ」
「だめか?」
「いや、良いんじゃないかなぁ、はっはっはっはははぁ〜」
 山田の性根はヘタレだった。

 【敵性体】部隊。小型種の集団の中を縫うように飛びながら、次々と小型種を撃墜してゆく長機(リーダー)である山田機の後を影のように追いながら飛ぶ梅本機。
 追尾する僚機の動きをフォローする航法コンピュータの指示はあるものの、このような乱戦状態では指示を聞いているだけでは決して追うことの出来ないはずだが、梅本は山田機の動きを予測しながら追尾するだけでなく、自機を小型種から攻撃されない位置へと滑り込ませる巧みなポジショニングを行いながら、山田機の撃ち漏らしや山田機への攻撃を可能とする位置にある小型種たちを撃ち落してゆく。
『やるな梅本』
 梅本とロッテ(Rotte:2機編隊。1個分隊。2個分隊で1個小隊で1個小隊をシュヴァルムと呼ぶ)を組んだ山田は、思った以上の梅本の操縦技量に感心した。確かに柴田が褒めるだけはある。これなら十分自分達と一緒に戦えるだろう。特に長機を務める自分をサポートをする際の視界の広さは尾津に匹敵するものがあると舌を巻く。
『ありがとうございます山田さん』
 だが、そう素直に応える梅本に気持ち悪さを感じる、今までが今までだけに腹に一物をもっている気がして不気味でならない。
『単に技量以上にチームプレイがここまで出来るとは思ってなかった。正直驚いた』
『褒めていただいてうれしいですが、柴田さんが鍛えてくれたおかげです』
 ウィンドウの画面越しに嬉しそうに話す梅本に山田はイラッとし、その鬱憤を晴らすように小型種を撃ち落しスコアを稼いでいった。

「どうだった?」
 作戦後のブリーフィングで柴田に声を掛けられる。
「合格だよ。初めてペアを組んであれだけやられたら文句のつけようが無い」
 山田は梅本を褒めるが、肩をすくめて素直に褒めているという訳ではなかった。
「そいつは良かった。俺達が4人で小隊を組むなら、俺と山田が長機になるから、俺だけじゃなく山田とペアを組んだ時を想定してロッテ戦術を仕込んでおいたんだ」
「そうか、ありがとうな」
 山田は柴田が自分の事を考えていてくれた事に礼を返す。
「僕から見ても十分な実力だったと思うよ。もっと我の強い性格だと思ったから、連携は難しいかと思ったけど……」
 尾津は一旦言葉を止めると、柴田の耳元に口を寄せて『どんな調教をしたんだ君は』とウィスパーモードで話しかける。
『だから何もしてないって』
『何もしないであんな風に人の性格は変わらないよ』
『分からないよ。最初にチームを組んだ時の作戦中は、いつもと変わらない刺々しい態度だったんだ……でも次の日にログインして会った時には、何か様子が違っていて、凄
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