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故郷は青き星
第二十二話
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ように頷き返した。
「あの……ごめんなさい。今までの失礼な態度をどうか許してください。お願いします」
 顔を赤らめながら何度も一生懸命頭を下げる梅本の姿に『デレてる!』『完全にデレデレだ!』と思った山田と尾津は、2人掛かりで柴田の胸倉を掴むと部屋の隅へと引きずって行くと、会話可能距離半径1m以内限定のウィスパーモードで柴田を問い詰める。

「柴田! お前一体何をした?」
「アレじゃ完全に別人だよ!」
 正直、山田と尾津から見てさえ今の梅本は可愛らしく思えた。
「何もしてないって。単に野良チームを募集したら梅ちゃんが入ってきて──」
「断れよ!」
 山田と尾津が完全なハーモニーで突っ込みを入れる。
「だって、誰も入ってこないから1人でいこうと同調を開始した瞬間に入ってきたんだ。その段階で断ったら撃墜扱いで任務失敗だよ」
 プレイヤーからは評判の悪いシステム上の処理で「バグだ早く直せ」とクレームが殺到だが、出撃シークエンスが終了してからの擬体への同調のために、そのタイミングでキャンセルされると実際に戦闘機は既に航宙母艦の外にあり状況次第では回収することも出来ないため、プレイヤーにそのタイミングでの作戦のキャンセルをリスクなしに認めるわけにはいかなかった。
「あざとい!」
「なんて狡猾な!」
 2人が梅本を振り返り睨みつけると、怯えたようにビクッと身体を振るわせた。

「それでさ、あいつは口の半分くらいは腕が立つからさ」
「それは凄腕だ!」
「なんて高評価。勝てる気がしない!」
 自分の言葉に驚愕する2人に、お前等の中では梅本はどれだけの口先女だったのかと聞きたくなるのを我慢した。
「いや、お前等も負けてないと思うよ……」
 苦笑いを浮かべながら『……色んな意味で』という後半の言葉もぐっと飲み込んだ。
 実に良い判断だと賞賛されても良いが、柴田自身同じ穴の狢だという事を忘れている。
「……それで1週間チームプレイを叩き込んでみて、俺達と一緒でも十分やっていけそうだったから、今までの事を2人にちゃんと謝るという条件で誘ってみたんだよ。どうかな?」
「ど、どうかと言われても」
 梅本への個人的感情から断りたい山田だが、柴田の発言内容にケチの付け所が無く、断れば自分の株を自分に対しても柴田に対しても下げてしまいそうで躊躇われ、思わず尾津に助け舟を目で要求する。
「ぼ、僕かい? えっと……そうだね。とりあえず一緒にチームを組んでみて問題が無いようなら……」
 尾津としてはその後の言葉を口にしたくは無く、言葉を濁すがそうは問屋が卸さなかった。
「問題が無いようなら、仲間に入れるって事で良いんだな?」
 柴田がきっちりと結論を突きつける。
「え〜〜〜と、山田はそれで良い?」
 尾津は山田から渡された爆弾をギリギリで
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